【謎解決】「どんばらぼうやく」何処に…ハマグリの貝殻に入った秘薬
お盆休みの昼下がり、エスプレッソをススりながらレモンケーキにかじりついている時の事だった。
突如幼少期の記憶がドミノのようにおしかけてきて、胸がピアノみたいに高鳴ってしまった。
親戚の家になぜかレモンケーキが大量に保管されており、それを発見してしまった私はひとつずつ、バレぬようにクスねてはモグついていたあの日。
昼ごはんに巨大な海苔巻きおにぎりと固い木綿豆腐を食べて虫取りに出かけたら落とし穴に落ちた事。
すりむき傷に祖母が戸棚からとりだした秘薬を塗ってくれた事。
この「秘薬」を思い出してしまったのだ。
大ぶりなハマグリの貝殻の中に入れられた薬は固体である。 ちょうど樹液の結晶みたいに固く、ほんのり赤黒い梅干大の黒曜石といった外見をしている。
その塊をろうそくの火にかざすとやや溶けてくるので、そこへ紙切れを当ててゆくるなった薬を塗り広げ、プルーン状になった面を患部に当てて包帯を巻くという処置の仕方をする。
たいそう効いた記憶がある。
切り傷や、ヤケドの際に祖母は塗ってくれていたようだ。 匂いがあったかどうかは思い出せない。 おつかいに薬局へ走らされてこの薬を買った記憶もあるのでここ長崎では普通に市販されていた模様。
検索してみても、一切情報は出てこない。 たしか名前は「どんばらぼうやく」という奇妙なものだったと思う。
どなたかご存じありませんでしょうか…何せ30年以上前の話でありまして、正体を突き止めてスッキリした秋を過ごしたいと考えております。
追記:お力添えにより薬の正体判明
すでにこのページのコメント欄へその答えを頂戴した他、インスタのストーリーでも捜索願いを出していた所、なじみのユーザーさんから「神力膏で検索してみて」とアドヴァイスを頂き「あ!」となった次第。
我が心の秘薬の正体は、長崎の老舗「竹谷健寿堂」が生み出した神力膏、またの名どんばら膏薬だった。
是非こちらのページをご覧いただきたい、昨今ウェブ上にない素晴らしい情報であふれている→関西学院大学社会学部 島村恭則ゼミ:家伝薬のフォークロア―長崎における老舗薬屋の事例から―
本当にありがとうございました(2018/09/06)!
町田製薬の たこの吸出し ではないでしょうか。
発売当初は蛤の貝殻に入っていたそうです。
こんな面白いネーミングの薬もあるんですねー、大変勉強になりましたありがとうございます!
竹谷健寿堂の 神力膏と思います。
第2節 家伝薬「神力膏」
長年、「神力膏」を竹の皮に包んで販売していたが、ある時容器を竹の皮から「ハマグリの貝殻」に変えた。中身だけ取り除き不要になった貝殻を名古屋の漬物屋から取り寄せ、熱湯消毒したものを「神力膏」の容器に用いた。1つの貝殻に膏薬をいれ、別の貝殻で蓋をする。大きさと色合いが揃う貝殻同士を組み合わせていたため、それはまさに神経衰弱のようだったという。
当時、貝殻に入っていることから「貝殻膏薬」と呼ばれた。また、「どんばら膏薬」という愛称もあった。「どんばら」とは長崎の方言で「大きなお腹」という意味であり、店頭に置かれている布袋様のお腹に因んでそう呼ばれていたそうだ。
まさにこれです!!!
まさか、これまで幾度となく前を通っていたあの薬局がこんなに歴史あるお店だったなんて…と驚いております(笑)。
早速買いに行ってみますね、本当にありがとうございましたこれでグッスリ眠れます!