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2018/07/01 雑記

走る・走る・私たち

カモメの群れ

犬に追いかけられた事はおありだろうか。

私はこれまでに三度ある。

一度は5歳の時、駄菓子屋に行った帰り道。 いつものように公園内を横断して家までの近道をしようと歩いていたら、見知らぬ肥えた犬が吠えながら猛烈な勢いで走ってきた。

あいにく夕方で園内に人影無し。 人間本当に恐ろしいと動けなくなるものだ。

お菓子の入ったビニール袋を片手に、ただボー然と向かってくる犬の姿を石みたいに固くなって見ていたが、いざ目前まで迫ってきたところで無意識の防衛反応が働いたのだろうか、袋を投げ出して一目散に逃げ出した。

後を振り返る余裕などないので犬と自分の距離がどのくらいあるのか分からない事が一層恐さを煽る。 憑かれたように吠え続ける犬。 気がつけば、買い物をした駄菓子屋の中まで戻っていた。

店主の婆ちゃんがガラス戸を閉めてくれたおかげて恐怖はウソみたいに消えた。 あとはただ、犬が興味を無くして去ってゆくのをお茶をススりながら待つだけだった。

二度目は20年前。

釣りに出かけたがあまり成果が上がらず、もう止めにしようと車に乗り込みバックをした時だった。 「バリバリッ」突如響いた何かが割れる音と不思議な振動。 すぐ車を止めて確認したら、釣竿のしまい忘れをタイヤで踏みつけていたのだった。

もちろん竿とリールはパー。 まさに踏んだり蹴ったりだと掃除をしていたら、「ウォウウォウ」という低い犬の鳴き声がした。

振り返れば熟年のアイリッシュセッターがこちらにゆっくり歩いてきている。 うしろに飼い主らしき人がいるので安心していたら突如、その老犬は何を思ったのかこちらにダッシュし始めた。

魚の匂いにでもつられたのだろうか。

とにかく体格の良い犬なので恐ろしくなり、じりじり後退したのがいけなかったようだ。 なおさら犬は走ってきた。 そこでとっさに車に乗りこめばよかったのだろうが、人間本当に恐ろしいと正常な判断はできなくなるものだ。

ゴミをほっぽり出して一目散に逃げ出した。

後を振り返る余裕などない以降は上記同文である。 ちなみにこの時は漁協の事務所に逃げこんで事なきを得た(飼い主は何をしているのか)。

そして三度目が今日だった。

梅雨の晴れ間に真夏並の陽射しだったので妙に嬉しくなり、MTBに乗って颯爽と駆り出した。 「少し遠出でもしてみようかな!」気分は大人げもなく上々だ。

頬を撫でる風の気持ち良さは自転車ならではの快感。 住宅地を抜けて林を過ぎ、眼前に広がる潮風の気持ち良い丘をめざしてヒルクライムしていた時の事だ。

突如背後からガミガミやかましい犬の声がした。 額の汗をぬぐいながら振り返れば、小型の痩せた、黒い犬がこちらに向かって走ってきている。

何こっちは自転車だ。

どうせ追いつけないだろうと、あせる事もなくペダルをテンポよく漕いでいたら、思いのほかガッツのある犬で、ガウガウいいながらゼッサン猪突猛進中でこちらとの距離を詰めている。

そこでピッチを上げて漕ぎ始めるも、何が気に食わないのか知らないが、あちらもピッチを上げてくる。 どのみちUターンする道幅もないし、頂上まではあと少しだし、とにかく漕ぎ続けるしか道はない。

結局追いつかれてしまって。

足にからまる危険があったのでバイクを一旦降りるという大英断をした。

降りても尚吠え続ける黒に対してとっさに「パンパンッ!」と二度「かしわで」をしてみたところ、キャンキャンいいながら転がるように下っていった。

私はノロノロとその場にヘタリこんだ。

空には巨大なカモメが三羽、餌をくれないのに腹を立ててか、頭上をいつまでも旋回していた。

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