60代やせ型の人

高田(仮名以下T):あのねえ、おれ高齢者施設経営しているんだよ。
オイ(以下O):はあ。
T:こういうの長く続けていくにはね、儲けに精を出すんじゃなくて、とにかく入居者に何か作業をしてもらわにゃならんワケよ。
O:ほう。
T:たとえばね、ウニを殻ごと北海道から取り寄せて、それをみんなに割ってもらうのよ。
O:そんなのできるんですかみなさん。
T:教えたよ俺が。 今では殻から割り出して海水で洗い、なんつーかなあ、100円ショップに売ってる発泡スチロールの箱に詰めりゃ、地元のホテルや寿司屋が買いにくるワケさ。
O:なるほどですね。
T:でもね、そんな何千円も取れないじゃん素人仕事だから。 それに別に、儲けたくてやってるワケじゃなくて、とにかくその日一日を、なんらかの作業をしてもらって潰さにゃならんワケよ。
O:ふーむ。 じゃあ他にもなにかそういう事やってるんですか?
T:やってるよ。 昨年末だとホラ、クリスマスのリボンあるでしょ、あのシールよ帯のついた。 あれをみんなで作業してもらったのよ。 20万個だったかな。 けっこう時間潰せたから助かったよ。
O:たとえばそういう室内作業系ではなく、散歩に出かけたりとかしないんですか?
T:それが結構大変なのよ外は。 まず見てる人が沢山必要になるからさ、人件費がかさむでしょう。 部屋ん中だったらホラ、オレひとりでも見ていられるでしょうが。
O:ですね。
T:なんか悪かったね話聞いてもらっちゃって。 あなたがあまりにも旨そうに酒飲んでるからさ、つい何か御馳走したくなって声かけたんだ。 俺もう出るからこの唐揚げ、つまんじゃっても大丈夫だよ。
O:ありがとうございます。 でも私ももう出ますので。
T:あそう、じゃあ一緒にもう一軒行くか!
O:先がありますのでこちらで失礼します。
昨晩の出来事。