4・4・4

夕方テレビを流し見していたら、どこか聞き覚えのある男性の声が流れてきた。
すかさず画面を見たらアレ、この顔どこかで…「あ!」 中学時代の先生だ。
当時新卒で赴任してきた数学教師で、さすがに齢を重ねた姿にはなっているものの、鋭い眼光はまったく変わっていなかった。
やや巻き舌で、スキンヘッド。 一見教師には見えないが、生徒に対して熱く情があり、好きな先生のひとりだった。
何十年も経っているのに、どうしてこの方の事をよく覚えているのかというと遠足の時、海賊の末裔だという話をしてくれたからだ。
何でも久しぶりに実家に戻って納屋の整理をしていたところ、古びた旗が出てきたという。
それをいぶかしげにつかみあげ、外に出して広げてみたら、デカデカ「倭寇」と朱書きされていたのだとか。
潔い人で、朝礼中貧血の生徒を見ればどの教師よりも早くその元へ駆けつけ手当をし、区内清掃ではどの生徒よりも熱心に、ゴミ拾いをしていた。
今でも現役教師だという事に驚いたが、当時新卒だったんだよな。 今更になりますが、少年時代は大変お世話になりました、ありがとうございます。