キセルの雨が降るようで

酉の市が開かれているというので浅草の鷲神社に行ってきた。
毎年行かれている方の話によると、日中は大混雑しているから夜に行くよう勧められたのでそうした(特に一の酉)。
近場で飲みながら時を待ち、23時になったところでいざ大門をくぐり神社まで、その道中の陽気な事。
参道にはずらりと屋台が並んでおり、多くの人が行き交っていた。 腹ごしらえは済ませたばかりなのについ、イカ焼きの匂いにつられて足が勝手にそちらへ向かう。 右手にイカ、左にビールを持ちながら歩く。
金魚すくいに多くの子供たちが挑戦している。 なかなかみんなすくえない様子。 ボーッと立って見ていたところ、ウズウズしてきていざ参戦する事に。
金魚すくいなんて何年ぶりだろうか。 少年時代幾度となく磨いた技を、体は覚えているだろうか。 左手に椀、右手にポイを受け取り、金魚を物色する。
この店のポイはモナカ製でなく紙だ。 むしろこのほうがやりやすい。 水に沈めて動きの単調な個体を追う。 水中でポイを垂直移動させてはいけない、水平に動かすのがコツだ。 金魚の向かう先にポイを伴走させながら、椀はその先で待ち構えていなければならない。
「ポイッ」
無事椀の中へ黒い出目金は落ちた。 次はこの赤いのをと狙いを定めたところで的屋の主人は「ガシャガシャ!」と水を混ぜた。 瞬間金魚たちは活発に動きまわるようになり、一気に難易度が増した。 これぞ商売人熟練の技(妨害とも)で「そう易々とすくわれ続けては上がったりだテヤンデイ作戦」という。
その中でも赤金をすくいあげて椀へいざなったところなんと、椀を超えたむこう側へポイってしまい、元の水中へ金魚は落ちた。 このミスで焦りが生まれて三投目にはあえなく失敗、店を後にした。 ゲットした金魚は歩いている子供にあげた。
亀すくいに射的と、つい寄り道したくなる遊戯にあふれる中ヨロヨロ歩いていると、赤い提灯が見えてきて、もしやこれは夢なのではなかろうかとも思えてきた。