日本橋タカシマヤでの料理イベントを終えて
この間、日本橋タカシマヤさんで行ったイベントの感想を記す。
都合二回行い、テーマはいずれも春。 「春らしいレシピといえばそうですなあ・・・」と考えたあげく、まず一日目は次の三品でいくことにした。
会場の熱源はIH調理器二台という事だったので、作れるものは限られる。 そこで簡単でいて、作りやすいものをと選んだ三品だった。 足りない調理器具は長崎から持参したり、カッパ橋で入手したりした(住みたいカッパ橋に)。
サクラエビの土鍋ご飯はシンプルに、干しサクラエビをドッサリ加え、あえてダシを用いず水で炊いたものだった。 塩のみで調味し、蒸らす際木の芽を散らした。
当初はIHの土鍋で炊く予定だったが、熱の回りの違いか思うように炊けず、開演一時間前になり焦る。 結局うまくIHに合わせることができなかったので、土鍋両手に、熱源を探して駆け巡り、なんとかガス火でふっくら炊くことに成功。
旬たけなわのサクラエビが、フタを開けばキラめいていた。
続いて昆布〆へ。 鯛は長崎から天然鯛の冊を持参した。 今の時期は産卵前につき旨味あふれるから桜鯛なんて呼ばれたりもする。 あらかじめ冷蔵庫で二日寝かせておいたもの。
これを昆布でチョイ〆し、上から煎り酒を一滴落として召し上がっていただいた。 本わさびも添える。
シメの吸い物は、焙った海苔の香ばしさに負けぬよう、厚削りのカツオブシにて濃口のダシをとった。
いずれの品も、会場にてとびきりの素材が手に入る環境だったので楽しいったらなかった。
続いて二回目。 メニューは、
の三品。
「胡麻油のお粥の、一体どこが春なんだ?」とツッこまれたが、これにはトッピングとして桜の塩漬けを散らしたから、立派な春らしさがあるワケで。
「東坡肉の、一体どこが春なんだ?」とツッこまれたが、脇にキヌサヤを添えたので、春を通り越して初夏なわけで。 そもそも檀さんだって東坡肉のことを「春 → 夏」にカテゴライズしているわけで、となればオイはそれに従うのが自然である。
「ムースの、一体どこが春なんだ?」とツッこまれたが、サクラマスはこの時期、名の通り走りであるからごもっともなワケなのだ。
お粥は草野心平由来の作り馴れたものであり、IHだろうとも、二時間煮てれば旨く作れるので楽だった。
用いた胡麻油は上品で、色味が少ないため「この粥の、一体どこに胡麻油が入ってるの?」なんて聞かれもしたが、「ひとまず召し上がってみてください」と促せば、納得の表情を返していただけた。
東坡肉に関しては、調理に時間が必要なので、あらかじめ長崎で蒸しておいたものを会場へ届け、レシピの説明をするだけにとどまった。
サクラマスは会場で調達した、と書けば普通であるが、いざ売場に向かえばなんと、サクラマスは残り1パックしか残っていなかった、危ない危ない。
以上二回のイベントだった。 いずれも上々の出来栄えであり、百貨店でこのようなイベントを行ったのは初めてだったので大変勉強になった。
そういえばツカミとして、一回目はレモンの切り方を、二回目では梅干しの食べ比べをしていただいたのだが、こちらもおかげさまで好評であり。
最後に素材を使わせていただいたそれぞれのお店に、機会を与えてくださった髙島屋さんに、そしてご来場いただき最後までじっくり耳を傾けていただいた皆様へ深く感謝申し上げます。
使用食材リスト
- サクラエビの土鍋ご飯
- 干しサクラエビ:駿河府中 大滝商店
- 鯛の昆布〆
- 昆布:奥井海生堂
- 山葵:野桜本店
- 海苔の吸い物
- 海苔:三国屋
- 鰹節:天ぱく
- 胡麻油のお粥
- 胡麻油:関根の胡麻油
- サクラマスのムース
- サクラマス:レストランMURA