レンコダイ
魚屋で、青葉の上に一枚ずつ丁寧に並べられた、レンコダイが美しかった。
見慣れているものよりも大ぶりで、ウロコのひとつひとつが輝いている。 「派手目な鯛」的な外見はではあるが、行き過ぎない所にレンコ自身のセンスを感じる。 「すごい綺麗ですね」と言えば「そうでしょ、釣りレンコなの」と店主。
普通レンコ漁は、網で一網打尽にするらしいが、こちらは竿で一尾ずつ釣り上げたものだという。 五枚ばかり購入し、開いてみようと考えたが、〆てみることにした。
以前友人に貰った土産に、小浜特産『小鯛のささ漬』というものがあった。 極小型のレンコダイに軽く塩をし、その塩を洗う程度にサッと酢じめにしたものだった。 ぎっちり木樽に詰められたものを、一枚つまみ上げてはそのまま口に入れ、日本酒を呑む。 ささ漬けも酒も、たちどころに無くなる。
今回のものは型が大きいのでしっかり塩をし、半日ばかり酢〆した。 皮も滑らかに柔らかくなっていて、柚子胡椒で黙々つまんだ。 釣りレンコというだけあり、ノドの奥に釣り針が残っていた。
なんでも長崎県は、レンコダイの漁獲量が全国一だという。 こんな立派なレンコが釣れるのなら、何故『釣りレンコ』としてブランド化しない、何やってんだよ長崎県。 といささかいきどおりを感じながらも夜は更けたのだった。