おいしい、広島。
広島で遊んできた。 昼間はあちこち観光し、何しろ夜が楽しいったらない。 お好み焼きはもちろん食べてと、あとは地元在住ガイド役の友人に案内してもらった。
「川せ」という飲み屋街の真っ只中にある割烹屋は、若店主が繰り出す料理が実直で、ズラリ揃えられた広島の酒とよく合い、閉店時刻までまったりしてしまった。
昭和33年創業のホルモン専門店「利根屋」は強烈だ。 以前『酒場放浪記』で紹介された店で、たまたまそれを観ていて一度行ってみたいと思っていたのだ。 入店してすぐオカミさんにそう伝えると「じゃあ吉田さんが食べたのと同じものを出してみましょうか?」と訊かれたのでそうした。
座敷で生を飲んでいると、直径40センチほどの底が平たい両手鍋が運ばれてきた。 炒めたてのホルモンが山盛りになっている。 その山には見覚えの有るもの無いものゴチャ混ぜになっており、オカミさんが丁寧に説明してくれたが、ちょっと覚えきれない。
つまみながら時折壁のメニューに目をやり、「これは丸腸だろう」「ハチノスだ!」「ヤサキ って何?」と分析しながら飲むのが楽しい。
ホルモンのメニューは十数種にものぼるが、レバ刺の札にはバツ印がついていた。 老舗といえども時代である。 結局食べ切れないと思っていた山を、三人で軽く平らげてしまった。 甘めのタレは、どんぶり飯ともよく合うだろう。 シメはホルモン汁で。
次の日、昨晩飲み歩いた場所を撮影して回っていたところ「大和屋酒舗」をみつけた。 店の5メートル手前から良い酒売ってる雰囲気があり、いざ中を覗くと楽しくて、色々買ってあちらこちらに送ってみた。
牛乳を買いにローソンへ行くと「レバ刺風コンニャク」が売られていた。 利根屋の記憶から、その模造品をカゴに入れた。
よく冷やしてから肴にしてみると、見た目はかなりの完成度である。 だか赤いコンニャク本体には味がなく、ゴマ油っぽく見える付属のタレに似せた味がついている。 酒を呑んでレバ刺をひと切れつまみあげ口に含み目を閉じ、一所懸命噛んでみたが、レバ刺の風味には程遠い。 嗚呼、レバ刺よ。