十月をふりかえり
慌ただしかった十月の回顧録を。
なじみのお茶屋へいつもの知覧茶を買いに行った。 店主のおばさんは「やっと新茶の季節になりましたよ、ようやく」と三度繰り返した。 大事に飲ませていただきます。
続いてスーパーへ向かい献立の材料を揃え、レジの大行列に並び、ようやく自分の番が来たと思えば「ちょっとカゴを取ってきます」とレジさんはその場を離れた。
「カゴならレジ横に山積みされてるじゃないか」と内心思ったのだが、カゴの束を持ち戻ってきたレジさんを見て納得。 決済前と決済後の商品を入れるカゴの色が違うのだった。
確認をとってみると、やはりそのような取り決めがあるそうだ。 もう何年もここで買い物していてまったく気がつかなかった。
帰宅中食材の買い忘れを思い出したので、スーパーをはしごする事になった。
肉売り場の前でしきりにソーセージの試食販売を行っており、炒めて楊枝に刺し、行く人々に差し出している。
その試食を配っているおばさんの後ろにちょうど目当ての馬刺しが売られているのはわかっているのだが、そのままモロ直進していってしまうと、ソーセージを喰いたいがためにズンズン近づいてきた不審者と思われやしないかという妙な心理にというか小さなプライドが頭をもたげてき、
見る必要のない鶏肉や豚肉売り場を眺めるフリをしながらジワジワ近づいていき、ようやく馬刺し前に来たところで「ささどうぞ!」と差し出されたソーセージを「いえ結構です!」とキッパリ断りながら馬刺しをカゴに入れる予定だったのだが、おばさんはオイに試食を差し出してはくれなかったのだった。