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2011/09/10 菓子酒肴

福砂屋のカステラを・・・

福砂屋のカステラ

子供の頃、おやつによくカステラを食べた。

よく冷やしたカステラに、冷たい牛乳を添えてつまんだものだ。 「カステラといえば福砂屋だ」と聞いて育ったものだが、成長するにつれ、カステラを口にすることは次第に少なくなっていった。

吉田健一の『舌鼓ところどころ』を読んでいた時のことだと記憶しているが、カステラにまつわる思わず「ウソォ」と口に出た逸話がある。

幕末の頃、長崎のカステラの広告に、カステラを薄く切ってわさび醤油で食べると酒の肴として至極上等だとあったそうなのだ。 もっとも、その当時のカステラは現在のものと少し違っていたという話もあるらしいのだが。

吉田氏は試しにそうやって食べてみたという。 そして感想に「酒の肴としてはどうかわからないが、ちょっといけるものである」と書いている。

となると、オイも試してみたくて仕方がなくなり、福砂屋へカステラを買いに行った。 そういえばカステラを自分で買うのは初めてだ。 一箱千六百円するものだということを今知った。

早速包みを開こうと見慣れた箱を手にとると、原材料表記が目に入った。 なるほど余計なものは何一つ入っていないんだね福砂屋のカステラは、感動。

箱を開いてまだビックリ、カステラがあらかじめ切れている。

子供の頃食べていたときは「こんぐらいの厚さかな」と包丁を当てて慎重に、厚切りしすぎて親に怒られないよう気を使ったものだがへぇ、いつからカステラは前もって切れているようになったんだろう。 もしかしてずいぶん前からそうなのか?

カステラを二片つまみ上げ、底に敷いてある薄紙をはがし、現れたザラメに「そうこれこれ」と頷きながら、皿へ置く。 粉わさびを練ってカステラの脇に添えいざ・・・醤油に浸してかぶりついた。

想像していたよりも食えるものだった。 だが、旨いとは思えなかった。 甘くてコクのあるカステラを「ああ醤油に浸してわさびで食べてるな」という味。 わさびも醤油もカステラも、全部バラバラの味だ。

その広告を打ったのがどのカステラ屋さんなのかは不明である。 はたして当時のカステラは今のものとは別物だったのか、そこんところが気になって、おちおち酒も飲んではいられない今日この頃。

ちなみにカステラをさいの目きりにして、クルミペーストをかけて食べるとイケるらしい。 こちらはまだ試していないが、きっと旨いハズだ。

カステラ同封のチラシメモ

  • 福砂屋は創業寛永元年(1624年)。
  • 当時の長崎では、ポルトガル人と日本人は街の中でともに暮らしており、初代福砂屋はポルトガル人から南蛮菓子の作り方を直伝されたらしい(出島が完成したのは1636年)。
  • ふくさやの商標こうもりは、明治に入り十二代目福砂屋が取り入れたものらしく、こうもりは中国で桃と並び幸運の印として尊重されている。
  • カステラの底にあるザラメは、材料を攪拌する際ザラメの一部をあえて残し、沈めて底に残すもので、あらかじめザラメを敷き詰めた上に生地を流し込んでいるわけではない職人技。

カステラの歴史

カステラは安土桃山~江戸時代初期にポルトガル人によって伝えられたヨーロッパのお菓子。 南蛮菓子と呼ばれ、15世紀イベリア半島のカスティリヤ王国になむ。 長崎でカステラが有名になったのは、他の土地では入手困難だった白砂糖が、長崎では貿易品として大量にもたらされたため。

“福砂屋のカステラを・・・” への7件のフィードバック

  1. ありよ より:

    多分、伊達巻きが「カスティラかまぼこ」と呼ばれていたという記述をどこかで見た覚えがあるので、伊達巻きのことでは??と…。
    ぷちぐるさんで読んだ気がしていたのですが、壇流の伊達巻きのところには記載がありませんでしたので、他で読んだのかもしれません。もしかしたら伊達巻きすら関係なく、完全かんちがいかも…。だったらゴメンナサイm(_”_)m

  2. オイ より:

    ほう伊達巻がですねえ。 たしかに伊達巻だったらわさび醤油といわれても違和感ありませんね。 もう少し調べてみることにします、ありがとうございました!

  3. Pauhana より:

    私もカステラといえば福砂屋です。
    一度だけ本店に買いに行ったことがあります。
    オランダケーキも好きですね。
    どちらもミルクが必須。
    無性に食べたくなってきました。

  4. オイ より:

    福砂屋を周囲に配ると喜ばれるんですよまた。

  5. ありよ より:

    うちで探してたら、記載見つけました♪大学時代に買った、今でも私が参考にしてるおせちの本に「カスティラかまぼこ」の記載ありました。
    http://www.bk1.jp/product/01710774
    「長崎の卓袱料理の『カスティラかまぼこ』が江戸に伝わり『だて巻き』に」
    とのことです。
    その元々の『カスティラかまぼこ』自体がなんなのかの説明はないのですが、
    今調べてみると、沖縄で『カステラかまぼこ』なるものが存在してるらしいですね。
    http://www16.ocn.ne.jp/~gajimaru/31/page162.html
    これだと、わさび醤油にあいそうな…♪
    なんか、昔から異国の風を感じてたであろう長崎の食文化に、とっても想像力をかき立てられます!

  6. オイ より:

    ありよさん、すごい!
    だて巻きのルーツがそんなことだなんて・・・びっくりです。
    教えていただいたおせち本、気になったので読んでみることにします。
    重ねまして、ありがとうございます。

  7. AK47 より:

    当時のカステラは「薄く切っていた」のではなく、
    「薄く作られている」物です。
    オーブンが無い日本では平たい鍋↓

    http://www.shooken.com/rekishi/

    に蓋をして、
    その上に炭を乗せて作るタイプだったので、
    当時のカステラは今の様なスポンジケーキの
    様な物では無く、どちらかと言えば
    「パンケーキに近い物」
    だったといわれています。
    しかも、当時のレシピでは使われていたのは
    小麦粉、砂糖、卵とこの3つだけだったそう
    なので、どちらかと言えば
    「小麦粉の多い玉子焼き」
    又は
    「玉子多目のパンケーキ」
    の様な物だったと言われています。

    だから伊達巻や出汁巻き卵に近い感じの
    物で、パンケーキの様に薄い物だったと
    言われています。

    ですので、今のカステラでやっても味が
    ちぐはぐで美味しくないと思いますよ。

    やるならパンケーキか、卵に小麦粉と砂糖
    を入れて焼いた物で試してみないと。

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