ビッシリの骨
通りがかったごく普通の居酒屋さんに入った。 ごく普通の家庭料理やピシッとした刺身が美味しい。 ここいい店、しばらく通おう。 熱燗と、カニミソを注文する。
かにみそってどうしてこんなにおいしいんだろう。 なんでか? そう考えながらチビチビヤッてるとすぐに徳利は空になってしまった。 もう一本注文してと、あとは何を・・・あん肝があるな。
かにみそは殻からほじくりだしたのが一番。 でも缶詰でも美味しいのは何事か。 ちゃんとしていないかにみその缶詰でも美味しい。 アンキモは腹を裂いて大事に取り出し、酒で洗ってから蒸すと極楽へ行く。 旨いとかそういうレベルの話じゃなくそう極楽。 でも缶詰のはマズいものが多いのは何事か。 このお店のアンキモはちょっとアレだった。 でもいい店。
あん肝魂に火がついたから、魚屋さんにお願いして小型のアンコウを仕入れてもらった。 小さくても吊るし切りにして、あん肝を大事に取りだし、アンコウ鍋で飲んだ。 吊るし切りにした後唯一残る「口」。 それを干して、乾燥させたものがこれ。 すっぽんの甲羅のように、干して飾っておくと魔よけになる、という話ではない。 ただ興味本位に干してみただけなのだ。
針、いやそれ以上に鋭く尖った歯がびっしりと並ぶ骨。 ヒラメ、ハモ以上なのではなかろうか。 アンコウは海底に住んでいて、背びれが変形した竿をヒラヒラさせて小魚を誘致し、そのバカでかい、歯がギラつく口で飲み込む。 飲み込むのならばこんなギザギザの歯は必要なかろうもん、と思う。 だからやっぱりグシャグシャ噛んでいるのかもしれない。
生物は歯でも味を感じているのだ、という話をどこかで聞いたような気がするが、もしもそうならば、山ほど歯のあるアンコウはすごく味を感じるのではなかろうか、もう小魚激旨!と常日頃感じているのではなかろうか。
ちなみに画像は上あごの部分になる。 ちょうど真ん中に関節があり、そこから曲がる構造になっている。 より大口を開けるように、という工夫なのかも(たしかヘビのアゴの骨は割れるんじゃなかったっけ)。
実は下あごの骨も一緒に「輪の形」で乾燥させていたのだか、下あごがどこを探しても見つからない。 たぶん子供の誰かが持っていったんだろうけど、こんなものに興味のある人物は・・・次男かも。
次男愛用のオイが譲ったハーベストレーベルの肩掛けポーチを覗いてみると・・・下あごを発見。 おそらく最近観たインディジョーンズの影響か、気分はインディ教授だったのだろう。 でも鋭利でキケンなのでこっそり取りだして、かわりに娘の折った手裏剣を沢山入れておいた。
あとでそれに気づいたら、たぶん「なんじゃごりゃー」とドスのきいた声で叫びながらポーチを開きつつ走ってくるに違いない。 笑顔で。
かにみそ、あんきも、あんこう鍋食べたことがないです。
次男さん、ユニークみたい。