サンタのいたずら
もちろんウチにもサンタは来た。
玄関先でチリンチリンと音がするとすぐさま駆けていったのは次男だった。 デップリとしたサンタが目の前に現れても、もうビックリはしない。 何かいいものをくれる人だとわかっているからだ。
4人の子どもたちはそれぞれプレゼントを受け取った。 お礼を言うと、ものすごい勢いで、すぐに封を開けはじめた。 きれいに包装してあるのに、もうちょっとこう丁寧に開封することはできないものなのか・・・。
子どもたちは毎年希望通りのプレゼントをもらっているが今年はどうなのだろうか。 いち早く包みを開いた次男は・・・トーマスの機関車本体だった。 たったひとつだけ。
次に包みを開いた長女は・・・大好きないちごのパックがひとつだけ入っていた。 練乳付。
そして長男のプレゼントは・・・最近好きな『ONE PIECE』の単行本が一冊だけだった。 うれしそうではあるが「たった一冊・・・」と顔に書いてある。
次女のプレゼントは、割と立派なお絵かきセットだった。
今年のサンタは少しいたずらをしていた。
今さっき手渡されたプレゼントは、いわばオードブルであり、メインディッシュは別に隠されていたのだ。 最初少しだけガッカリさせておいて、あとから大いに喜んでもらおうという魂胆らしい。
しばらくして、カミさんがクリスマスツリーの茂みから「サンタからママへ」と書かれた手紙を見つけた。 その手紙には 、それぞれ子どもたち宛に、「ある場所を探してみて」と書かれてある。
長男は二段ベッドの上、長女は下駄箱の中、次男は物置の中。 ちなみに次女は、まだサプライズとかわからないから、お絵かきセット自体がメインディッシュという設定。
それぞれの場所を捜索した子どもたちは「アーッ」と声を張り上げた。 プレゼントが置かれていたのだ。
長男は『ONE PIECE』の10巻セット、長女は念願のニンテンドーDSi、次男は機関車トーマスプラレールセットだった。 やっぱり今年も、望みどおりのプレゼントが手に入ったのだった。
「どうだった?最初のプレゼントには、少しガッカリした?」とそれぞれ尋ねてみると、長男は「ちょっとだけ」 長女は「かなり」 次男は「はぁ?」という返事だった。
今年もステキなクリスマスイブだった。
ちなみに今年のサンタはオイにもプレゼントをくれた。 カラスミチップス2切れだった。 有難く、早速ぬる燗の肴にした。