娘の技
朝起きたら朝刊をポストから取り出し、読みながらコーヒーを飲みます。 気になる記事があれば、ビリッと縦に破りとっておく習慣がありまして。
二歳の娘は、ちゃぶ台でごはんを食べます。 理由は小さすぎてテーブルに着けないからです。 このちゃぶ台、天板が丸くて足の折りたためる「いかにも昭和的」な小さいモノで、娘がご飯を食べる時にだけ運びこまれることになっています。
我が家では「パパの動くちゃぶ台」と呼ばれている代物です。
いつもは娘のご飯が済むと、すぐ片付けてしまうちゃぶ台が、たまたまその日は出しっぱなしにしてありまして。 そのちゃぶ台の上に、新聞の切抜きを置き、飛ばないよう上にコーヒーの入ったマグカップを置いていたんです。
「アーッ!」
一瞬目を離したスキに、娘は「またご飯か?」とちゃぶ台に近づいて、その切り抜きを「バーンッ!」と引っ張ってしまいましてね・・・瞬間、その後始末をしぶしぶしている自分の姿が脳裏に浮かびましたよ。
ところが!
なんとカップは微動ダニセズ。 新聞だけスッパリ抜き取られたのです。 まさに往年の、新春かくし芸大会で見た堺正章さんのテーブルクロス引きのように。
本人は新聞紙片手に何くわぬ顔をしておりましたところ、親は両手を叩いて騒ぐものですから次第に娘も興奮してきましてね。 褒められているのか怒られているのか分からなかったのでしょう、知恵の輪みたいに複雑な表情を浮かべておりました。
朝から素晴らしい芸を見せてくれた娘に、感謝!