たぶん何かの味方で
仕事帰りにビアバーが目に入り「一杯やってくか」とツレにめくばせしたら向こうもその気だった。
全国各地に支店のある有名店である。 これまで数えきれないくらい飲みはじめの一杯を世話になってきた店だ。
ビアバーだもの、ぜひカウンターに着きたい。 そしてサーバーから注がれてゆく黄金を、まじまじと観察していたい。
相変わらずにぎわっている。 スタッフのマナーもすこぶる良い優良店。 カウンター内には注ぎ手が三人いる。 その中に、あきらかにひとり異質の空気を放つ男がいた。
率直に言うと店のカラーと合っていない。
(more…)ミニピザの海苔はさみ
全ての家事を同時進行しながら今晩の夕食、ギョーザを焼いた。
食卓について鉄板を取り囲み、「焼きあがるのは今か」と待ち構えている子供たちの視線は熱い。
「チリチリ音がしてきたよ!」と長男が知らせてくれた。 前もって「ギョーザの焼ける音がチリチリなりだしたらおしえてね」とお願いしておいたのだ。
ひとまず洗濯物の山を置いて、鉄板へ向かう。
フタを開くと、蒸気がモワッとたちのぼり、蒸し焼きにされて、皮の上からアンがうっすらと透けたギョウザが現れた。 1列6個のギョーザが計4列。 大皿にひっくり返すと、底面はこんがりキツネ色に焼けていた。 でかした長男、これぞベストな焼き加減。
(more…)焼き鳥を焼きながらビール
焼き鳥を焼いた。 写真を撮りながら焼くのは非常に大変だったがとりあえず一仕事終えてよかった。 さて。 冷凍庫で冷やしておいたビールで乾杯としようか。
なんでビールをワイングラスで飲んでいるのか。 それはビールグラスがないからである。 なんでビールグラスがないのか。 それはビールグラスを沢山洗って水気を切っているところに嫁が麦茶の入ったヤカンを落としたからである。 故意にではないが、過失はあった。 だから、ビールをワイングラスで飲んでいるのだ。
昨日タバコをやめた。 赤ちゃんも生まれたことだし、どうせ家の中では吸えないし、最近どこでも吸えなくなってきているし。 そもそもそれほど吸いたいから吸っているのではなくて、ただなんとなく吸っていただけでもあるし、別に吸わなけりゃ吸わないでなんともないし。 と、試しに朝起きてからタバコに手をつけなかった。 全然吸いたいとも思わなかった。 今日も全然吸おうと思わない。 もうやーめたー。 そういやワイン中毒の女がいて、彼女は酔っ払うとワインがとまらなくなり、ついには記憶が喪失してしまうという困った人なのだが、ある日反省の念からワインを水に替えてみたところ、別段なんの支障もなかったのだそうな。 惰性でワインを飲んでいたのだ。 だから彼女は最近ワインをボトル一本飲んだ後は、高いテンションを維持しつつ、水をワイングラスでガブガブ飲んでいる。
昨日嫁が運転する車に左足を踏まれた。 生まれて初めて車に足を踏まれた。 しかも妻が運転する車に足を踏まれた。 幸い大したことなかった。
というように、独り夜中にベランダで焼き鳥を焼きながら一杯やってると、色んな事柄が頭をめぐってきた。 大昔、祖先はほら穴の中、焚き火の前でくつろぎながらさて明日はどうやって猪を狩ろうか、と考えていたのかもしんない。 じつは炎と煙には、人を思わず考え込ませてしまうというそんな驚くべき効果があるというNASAの実験結果があるのだという話はない。