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美味かもん雑記帳 > 雑記 > 師走の火柱
2018/12/17 雑記

師走の火柱

子供達と『ドラゴンボールZ 復活の「F」』を見ていた所ニュース速報が。 札幌で爆発が起きたらしい。

詳しくはあなたもニュースでご存知だとは思うが、あれだけの事故で亡くなる方が出なかった事はせめてもの救いだろう。

今回の件で思い出した事がある。

学生時代のバイト先での事だ。 印刷屋の事務として働いていた時、ちょうど今の時期で大掃除に皆でとりかかっていた際事件は起きた。

今思い出しても雑然とした事務所で、日ごろから見かねてはマメに掃除をしていた事が懐かしい。

私は敷地内に設置されてある焼却機へ、不要となった書類を持ち込んでは黙々燃やしていたのだった。

「オイくん、これ全部去年のカレンダーだから、段ボール箱ごと火の中に放りこんでよ」と社長。

了解っす、と受け取った箱をそのままポンと火の中へ投げ込み、休憩所へゆっくり歩いていった。

「そろそろ片付きましたかね」と、先輩と談笑を始めた時だった。 外から「パンッ!」という乾いた爆竹のような破裂音がした。

「はてなんだろう?」と顔を見合わせる我ら。

間を置かずに今度は「ドンッ!」という重たい音がした。 音は焼却機のほうから鳴ったのだと体で感じ、すぐ外に出た。

「何じゃこりゃ…」

爆音の発生源はやはり焼却機で、煙突からは煙、ではなく猛烈な炎が上がっている。 何事かと恐る恐る近づいていった。

炎まであと3メートルの所まできた時、爆発は起きた。 「ドカン」という爆音と共に、焼却機がまるで生きているかのように踊っている。 煙突から出る炎は今、巨大なガスバーナーであるかのように猛烈な勢いとなっている。 続け様に「ドカンドカン」と爆発音がする。 その度に高さ5メートルを超える焼却機はスキップをするように踊る。

「これは大事だ」

踵を返して事務所に向かい、消火器を抱えてきた。 噴射しようとまごついている間も爆発は収まらない。 近隣に火が移ったらどうしよう、という嫌な懸念が頭をよぎった時、隣の自動車整備工場の壁ごしにシャワーが降ってきた。

事に気づいた整備士が、トラックの屋根に上ってホースから水を噴射しているのである。

異変に気付いた近隣住民たちも駆けつけてきて、間もなくバケツリレーが始まった。

みるみる治まる猛火。 消火器を持ったまま使えもせず立ちつくしている私。 「もしかしてあのダンボールの中に何かが…」冷や汗をぬぐった。

黒焦げの、ずぶ濡れになった焼却機から見つかったのは、破裂したカセットコンロ用のガス缶だった、それもおびただしい数の。

「だって社長、この中に入ってるの古いカレンダーって言ったじゃないですか、丸ごと放り込めって」

鼻息荒く問い詰めたところ頭をかきかき謝罪する社長。 なんでも、箱に手を突っ込んでさぐった時、「丸い棒状のモノ」をつかんだので、そのサイズ感からてっきり丸められたカレンダーだと思い、燃やせと命じたらしい。

ところがそれは、夏BBQをやった際に余ったモロ新品のガス缶だったというワケだ。

この事件以降、焼却機が撤去されたのはいうまでもない。

私は今でも、カセットコンロを使う時にはいつでも、あの日の火柱が頭をかすめるのだ。

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