草井瓦斯
先日初めて入った焼鳥屋についての雑感を。
入店するなりすぐ分かったのは、すごく狭いという事だ。 7坪ほどだろうか。 4人掛けのテーブル席がひとつとあとはカウンターである。
後ろを行き来する客の事を考慮してか、椅子の座面も狭い。 つまり前後に押しつぶされたような融通の効かない背もたれ付の椅子。
メニューを見ると、焼鳥屋なのに肝心の串に関する品書きがない。 聞けば「おまかせになる」と目の前の店長は言う。
店長の顔だけしか見えていない事にやや違和感を感じる。 彼の背が低いのではなく、焼き場の衝立が妙に高いのだ。
無論カウンターも狭い。 さらに料理専門雑誌を一席につき五冊ほど雑に立てて並べてあるのでなお狭い。
ここは狭さを味わう店なのだ。
おかませの串が出てくる間につまもうと、いくつかの肴を注文してみた。
するとまずお通しが届けられた。 「自家製ドレッシングのサラダです」と。
一見並のサラダである。 ドレッシングはよくあるシーザードレッシングのようだ。 一口つまむと、まさに市販のドレッシングの味がするからハテこれたしか自家製と言っていたような…と頭もかすめたが気にしないようにした。
串はまず、ササミから出てきた。 「レア仕立て」だそうだ。 口にすると本当にレアレアで、どちらかというと好みの部類の焼きに入るが、すぐに分かったのは、この店は炭火焼きでないという事だ。 ガス臭いささみ……。
焼き場の衝立問題は、これによるものなのだろう。 つまり「見ちゃだめ」と。
こうすればもっと繁盛する
「もっとこうしたら良いのに」という見解を記す。
店の狭さはどうにもならないから、まずカウンター上の雑誌を全部のけてしまう。 置いていてもそもそも読める空間が無い。
二人いる店員は、イナセな鯉口を着込んでいるがその仏頂面から大変ガラが悪く見えてしまう。 もっとニコニコしたら良いかと。
もしかしたら建築の都合上、炭火を使えないのかもしれないが、ちょっと焼き鳥店としてはキビしいのではないかという味しかしない。
だからたぶん、焼きにレアが多くまた、定番の串が少なくキワモノが多いのだろうと推測している。
ちなみにページ冒頭の焼き鳥写真はこの店のものではない事を付け加えておきながら筆を置く。