とり福
かつて長崎に唐揚げの専門店があった。
その名は江戸善。 多くの酒飲みに慕われた、昭和から続く老舗である。
ところが久しぶりに寄ってみたら、店の前に閉店の張り紙が・・・長崎は名店がどんどんつぶれてゆく町なのだった。
飲みに出たら、まず江戸善で唐揚げ一皿と、ビールを一本飲んで勢いづけて、夜の街へ繰り出すのを常としていた。 非常に寂しい・・・楽しみが減った。
とり福
たまたまローカルニュースを眺めていた時の事、なんと元江戸善スタッフによる唐揚げ店が、オープンしたのだという。 名は「とり福」。 走って向かった。
外観は江戸善と違い、昭和的な雰囲気はなく、これといって特徴もない。 店に入ればア!居た居た、江戸善でガンバってた厨房のおじさんだ。 相変わらずの仏頂面、これがまた良い。
すかさず唐揚げと、生ビールを注文した。
店内の照明は、妙に明るくて、いかにも場末的。 あ、早くもビールが到着してしまった。 肝心な唐揚げはまだ仕込んでいる最中のようだ。 ここで唐揚げが出てきてからビールを注文すればよかったなと後悔。
そういえば江戸善時代も「唐揚げとビール!」と、同時に注文していたが、ビールを一口飲む間にすぐ唐揚げが出てきていたハズだ。 待ったという記憶がない。 それも高回転率の成せる技だったのかもしれない。
泡がほとんど消えた頃、ようやく唐揚げは出てきた。
そうそう、この唐揚げだ。 すかさず指でつまみあげ、口にほうりこんだ。 骨を舌でのけながら、歯でしごきつつ、肉をしみじみ味わう。 気持ち江戸善時よりも味濃い印象。 唐揚げ自体は一回り大きくなり、量がいくらか増えている模様。
生ビール一杯に対しては、やや量が多いと感じたが、どうしても江戸善ではビールをおかわりしたくない性分であり、一杯飲んだらサッと出たい所である。 何しろスタートの店であり、夜はこれから長いのだから。
スタッフのほとんどが若者で、かつてのノスタルジックなおばさん方でなく、あの制服(でよいのか)でもない。 皆Tシャツ姿だ。 背中には某長崎の餃子屋さんの店名がデカデカと入っている。 そこが絡んでいるかなるほど。 壁には早くも芸能人のサイン色紙がいくつか並んでいるが、その宛名も餃子屋さんへ、である。
ともあれ唐揚げをアテにビールを引っかける店が復活して嬉しい。 立地も良いので、新たな老舗への第一歩としてがんばっていただきたい、応援している。
とり福
- 公式サイト
- 〒850-0841 長崎県長崎市銅座町8-9
- TEL 095-822-3858
- 営業時間 17:00~LO23:30 不定休
- とり福は去年8月オープン。 江戸善はおととし9月56年の歴史に幕をおろした。
おしながき
鳥料理(国産鶏使用)
- 唐揚げ 骨付 / 骨無 520円
- 素揚げ 骨付き 520円
- ムネ焼き / モモ焼き :塩、タレ 520円
- すなずり串5本 420円
つまみ
- 枝豆 / 冷奴 / すじ煮込み等 350円
おすすめはやはり骨付き鶏。 生一杯と、骨付き唐揚げで1090円なり。