200分の1
今朝ニュースで魚の乱獲を取り上げていた。
水産県長崎に住んでいれば「昔はイワシが山のように獲れた」という話はよく耳にするものだが、今はまったくいないらしい。
おせちのごまめは別名田作りともいい、鰯が畑の肥料として使われていた事に由来する呼び名である。 正月に豊作を願って食べられていたものだが、畑に撒くほど獲れていたとは夢物語であるかのように、とにかく今は獲れないのだという。
勝川俊雄さんの『日本の魚は大丈夫か』を大変興味深く読ませていただいた。 イワシについて、こんなくだりがあった。
マイワシは、1970年代に入り爆発的に漁獲が増えた。 その後90年代に入り、マイワシは激減。 その理由は89年から92年までの4年間、卵の生き残りが悪かったから。 この件により、マイワシの資源量は7分の1にまで減少した。
その後、卵の生き残りは回復したものの、豊漁時代に借金をして船を大型化した漁師たちは、魚が減っても漁獲量を落とすことができず、200分の1になるまで資源を減らした・・・。
200分の1。
基本的に個人経営で、漁業組合が絶大な権力を持ち、小規模漁村が無数に存在。 漁民が強い政治力を持っている点等、日本漁業の産業構造と酷似しているのがノルウェー。
過当競争 → 乱獲 → 資源枯渇 → 経営破たん → 補助金漬け、という負のスパイラルに陥り、1970年代までノルウェーの漁業経営は破綻していたのだが、漁業政策を転換し、20年かけて漁業を立て直した。
持続的に成長している漁業には次の2点が共通するという。
- 親魚を根こそぎ獲ってしまわないようにする。
- 利益をあげるため、獲った魚はできるだけ高く売るようにする。
日本人ひとり当たりの水産物消費量は、アイスランドに次いで世界2位。 なのに60代の漁師ですら若手と呼ばれる漁村もあるほど日本の漁業は衰退の一途をたどっている。
日本漁業が今置かれている状況は、かなりマズい。