猿追い上げ隊
このところ、長崎市内で猿の出没が相次いでいるらしい。
玄関先で威嚇されたり、髪を引っ張っぱられた人もいるそうだが、幸いにもケガ人は確認されていないとか。 万が一目の前に猿が現れた時の対策として、市は次のように行動するよう注意を促している。
- 目を合わせない。
- 背中を向けない。
- 落ち着いてその場を去る。
- 窓や扉を閉める。
- 石を投げるなど刺激しない。
- 餌を与えない。
猿追い上げ隊
以前、猿を追い払うボランティアを募集した町があった。 ユネスコの世界遺産に登録されている白神山地に隣接する秋田県の八森町だ。
この町では、街中で猿を見かけることはあったものの、畑の作物を食い荒らしたりされることなどはめったになかった。 人と猿がちゃんと住み分けできていたわけだ。
ところが、1980年代の終わりごろから、あちこちで作物に被害がでるようになった。 時には数十頭の群れが襲撃してくることもあった。
その原因は「猿のエサになる木の実が山でとれなくなったから」ではない。 人が山に入らなくなったからだという。 昔は山の木を切り出すために、人々が山に入っていた。 その姿を猿は見て「山の下には自分たちよりも巨大で、木を切り倒すほどの力を持つ生き物がいる」という事を知り、恐れた。
だから警戒して、山から下りてこなかった。
ところが、輸入木材が入ってくるようになり、山に入る必要がなくなったことから猿たちは「怖い存在」のことを忘れてしまった。 忘れたからつい里へ下りてくる。 すると旨い作物が沢山ある。 食べているのを人にみつかると、怒鳴られたり、石を投げられたりもするが、命を狙われるわけではない。
猿はこの「致命的な危害を加えられることはない」というところを覚えてしまったのだ。
やがて人側が猿を恐れるようになってきた。
そこで町では銃による駆除の認可を求めたが、県にかけあっても、なかなかいい返事は得られない。 理由は「白神山地の猿は環境省のレッドデータブック」で絶滅の恐れがある地域固体群とされているからだった。
そこで町は練りに練り、全国の若者に声をかけて集まってもらい、猿を追っ払ってもらおうという案を思いついた。 名づけて「猿追い上げ隊」。 ただし、お礼をするほどの予算はないので、景色と人情を報酬とするボランティアという位置づけにした。
募集には、全国から十数人の若者が集まった。 町内を回り、猿をみかけたら石を投げたり、犬をけしかけたりした。 追い上げ方にはロケット花火や安全なゴム弾銃で打つなどの方法もあったが、一番効果的だったのは、「こらっ!と大声で叫ぶこと」だったという。 花火の音などには猿は次第に慣れてくるが、人間の怒った声には慣れないらしい。
さて、猿追い上げ隊の効果の程は・・・定かではないという。
猿追い上げ隊については『読むクスリ37より』
長崎の場合どうなんだろう。 猿出没地域は三重、式見を中心にしているという。 いずれも山が近い。 山に入るようにして人の怖さを思い知らせるとしても、人手が要るし、範囲は広大だ。
個人的な感想では、近頃山に遊びに行くと、木を切り倒して平地にしている所が目立つ気がする。 その姿、猿に見られていると思うのだが。 いくら木を切り倒そうが、こいつら大したことない、と猿たちに知れ渡っているのかもしれない。 夏になると、このテの話題がでるようだ→落ちてきたもの。