続・夫婦喧嘩ば食らう
(※夫婦喧嘩ば食らうの続き)
旦那:「ちわ」
オイ:「いやー、それにしてもデカくなったねえ。 ささ、中へどうぞ」
ひと月10キロ増はウソでない様子。 首の後ろにあるシワがひとつ増えている。
オイ:「あのー、梅干の件なんだけど、梅干食べたからって、太らないワケではないからさあ・・・」
旦那:「あ、そうっすか」
簡単に引き下がった。
旦那:「あれ?皆居ないんすか?」
オイ:「買い物に行くとか言ってたからね、朝から誰もいないんだよ」
旦那:「あ、そうっすか」
旦那:「最近、腰痛いんすよね。 なんかいい方法ありませんかねえ?」
オイ:「多分急激に体重が増えたからだと思うけど。 一度病院行ったほうがいいんじゃないの?」
旦那:「なんかストレッチとかないですかねえ」
オイ:「ヨガはとても気持ちイイけど。」
旦那:「じゃ、ちょっとやり方教えてもらってもいいすか?」
オイ:「では一緒に。 まずはこうやって立って・・・違う違う。 アゴを引く感じ。 そうそう」
と、一緒に軽くヨガをやり始めたが、旦那的にムリな姿勢が多いためにすぐに断念した。 ヨガ以前の問題で、太りすぎた為に体が思うように伸びたり曲がったりしないようだ。 それに腰も痛いとくれば、ヨガはムリだろう。
オイ:「昔腰痛めたことあったけどさあ、やっぱり病院へ行ってけん引とかやってもらったほうがいいと思うよ。 ヘタなことするとよけい悪くなる恐れもあるし」
旦那:「そうっすかね・・・」
旦那:「手っ取り早くやせるにはどうしたらイイんですかね」
オイ:「やっぱ運動、それにごく軽い食事制限なんかしてみると効果的だと思うけど」
旦那:「運動って筋トレですか?オレ苦手なんですよね」
オイ:「たしかに筋肉はあったほうがいいと思うけど、それよりも先にまず歩くとか走るとか、有酸素運動をやったほうがいいと思うけど」
旦那:「もう何年も走ったことがないんですよね」
オイ:「じゃあ毎日歩くとか」
旦那:「歩いただけでもやせるんですか?」
オイ:「と思うけど。 歩くのも立派な運動だし、何もしないよりも全然イイと思うけど」
旦那:「走ったほうがやっぱりもっとやせますかね?」
オイ:「そりゃそうだと思う。 でも、急に走り始めたりすると、ヒザ痛めたりするからね、腰も痛めていることだし、とりあえず歩くことからはじめてみれば?」
オイ:「一日おきに、一回15分のウォーキングってのはどうね?」
旦那:「いいかも知れんっすね、でもオイさんは走ってるんですよね?」
オイ:「うん」
旦那:「やっぱ走ったほうがいいものなんすか? 一体どのくらい走っているんですか?」
オイ:「距離ではなくて、時間で走ってんの。 一日30分。 これやらなきゃ、酒がマズいわけ」
旦那:「どのへん走ってんすか?」
オイ:「このへんを適当に気分でコースを変えながら」
旦那:「走ってるときってどんな気分なんすか」
オイ:「気持ちいいけど・・・。 っていうか、もしかして走ってみたいんじゃないの?」
旦那:「です」
急遽、走りにいくことになった。 トレーニングウェアを貸して、一緒に外へ出た。
オイ:「じゃあ適当にジョギングみたいな感じで。 あんまり短くてもしゃーないから、10分ぐらい走ってみる?」
旦那:「じゃあそれで」
オイ:「とにかく止まらずにちょっとずつ、景色でも眺めながら走ると楽しいと思うけど」
旦那:「はあ」
3分ぐらい走ったところで、旦那は急に立ち止まった。
オイ:「どうした?」
旦那:「ここイイ景色っすね、ちょっと一枚撮りたいんですけど」
オイ:「・・・いいんじゃない(だから止まるなと)」
5分ぐらいしたところで再び、
旦那:「この辺ホントイイ景色っすね、ちょっと一枚撮りたいんですけど」
オイ:「・・・撮れば(だから止まるなと)」
彼は運動向きではない。
仕方がないので家に歩いて戻った。 ほとんど走っていないにも関わらず、旦那は汗をかいているのでシャワーを浴びさせた。 さてこれからどうやって時間を潰そうか。
旦那:「お先でした。 そういえばこの前の梅、旨かったですよ」
オイ:「今日また持って帰ったらいいよ。 何なら今から梅ペースト作ってみる?」
旦那:「まじすか、是非」
梅の壷を抱えてきて、30粒ほどまな板の上に取り出した。 種と実を分ける作業から旦那にやってもらうことにした。
旦那:「ほう、簡単にタネはとれますね」
オイ:「うん」
旦那:「タネなめてみてもいいですか?」
オイ:「どうぞ」
のらりくらりと30粒のタネを出し終わり、今度は梅肉を叩いてペーストにする作業に入った。
オイ:「叩いてから漉せば、なめらかなペーストになるけどね、そこまでしなくても十分だと思うよ。 こうやって時折ひっくり返しながら、まんべんなく叩いていくわけさね」
旦那:「ほう」
タネはタネで、全部鍋に入れて水と酒を注いでから煮ればなんちゃって煎酒になる。 無駄はない。
そして梅ペーストはできあがり、パックに詰めた。
オイ:「さて何しようか? あいかわらずツイッターは絶好調? YouTubeにバシバシあげてんの?」
旦那:「ええまあ」
オイ:「ふーん・・・・・・」
オイ:「ちょっと早いけど、飲むか」
旦那:「ですね」
やることがなくなったので、少し早いけど飲んでしまうことにした。 飲み進むにつれ旦那は饒舌になりだして、今度はこちら側から夫婦喧嘩に至るまでの話をたっぷりと聞かされた。
腹が減ってきたので何かつまみを作ろうかと冷蔵庫を覗いてみても、ロクなもの入っていなかったので、帰りに買ってくるようカミさんに電話した。
すると飲んでいることがバレてしまい、何やってんのと非難を浴びた。 何やるもなにも、非難される覚えはない。 こちらは旦那が来てすぐに、目的を果たしている。 梅干を食べると太らないということなぞない、とキッパリ伝え、相手にも了解を得たのだから。 どう過ごそうが、勝手だ。
旦那:「酒飲むと太るんですよね」
オイ:「まあ、濃いつまみをほしくなったりするし、太りやすいってのはあるかも知れんけど、程々にしとけば大丈夫なんじゃないの? 必要以上に食ったり飲んだりすれば誰だって太るってなもんよ」
旦那:「ですかね」
という摩訶不思議な会話をしながらあれこれ飲んでいるうちに、それぞれのカミさんは子供を連れて帰ってきた。 オイと旦那はもう出来上がっているので「夫婦喧嘩なんでどうでもよかろうもん、仲直りせんね!ハハハ」というノリだが、彼女らはシラフだからテンションの差が激しすぎて、若干引かれている模様。
そのまま鍋を囲んで夕食となったが、妹はまだ腹を立てている様子。 旦那はわりと安易に返事をする傾向が見てとれたので「何とかしてとりあえずムリなく5キロ痩せる」という宣言をさせた。 妹も連れて帰ってもらったが、仲直りしたのかどうかは知らない。 なんかあったらまた泊まりに来るだろう。 今度会った時もっとデカくなっていたら、その時は真剣に痩せさせる方法を考えよう。
[…] ということで、明日旦那がウチに来る(来た続・夫婦喧嘩ば食らう)。 妹は自分の夫の事なのに、ウチのカミさんと一緒に子供たちを連れて買い物に出かけるという。 ここでつべこ […]