マツタケじゃろ?
こん前ばあちゃんトコに行ってきたついでに撮った写真さね。
この辺も昔と全然変わらんなーて思いつつ深呼吸しながら散歩しよったら、こいば発見したとさ。 近づけば、あたり一面こいの置いてあったとばい。
「干しとるとよね? 骨かな」
て思いながらひとつ手にとってみたら固とーて軽かっさ。 じーっと見とるうち、なんかこいはマツタケばスライスしたヤツば何かの目的で干しとるとじゃなかろうか!? ちゅう風に見えはじめてきてさね。
もしそうならコイは事ぞ。
「こんだけの量のマツタケスライスのあれば、今日の晩酌の心配はまったくせんで良かたい!」 て自分のモノでもなかくせになんかワクワクしてきてね。
「10枚ぐらいかっぱってもワカランやろ」
って良からぬ考えも浮かんだばってん、良か大人やけんね…ガメたらイカンやろ。 家族もカワイソかし。 「干しマツタケをわずか10枚盗んだ男、逮捕!」とか新聞に載ったら恥もよかとこたいね。
じゃ、どがんして手に入れようか。 持ち主に一枚ちょうだいってお願いしてみるかな。 いくらか聞いて、安かったら買ってみようかな…とか悩んだとさ。 で、肝心な持ち主ばってん、そもそも回りに人影のなかとやもんね。 誰もおらんと。
仕方なく帰ったとばい。
そして玄関先で鎌ば研ぎよる婆ちゃんに聞いてみたとさね。 「ほらあの~、あの辺にズラーッて干してあるやろ切ったマツタケの。 あいはどがんして食うとね? いくらぐらいするとね?」って言えば、
「あーあちゃちゃーわんのひむるのあっちょんがーわんのすいていらー……」
って聞こえたばってん意味のワカランやった。
「わんの」っていうとは「オマエが」っていうことやろうばってんね。 今年90歳の婆ちゃんは方言も独特やし、昔から何て言いよるかよーワカランやったもんね。 聞く人ばまちごうた。
オフクロに電話して聞いてみたとさ。 そしたらなんと、あいはマツタケじゃノーて、イモやったとばいイモ。 しかもサツマイモて。 イモか……。 「焼酎ば作りよるとやろかね?」
違うらしか。
芋のスライスの正体は、カンコロモチの原料やったとばい。 正しくは甘古呂餅っていうとばってん、金の延べ棒のごたる形ばしとって、子供の頃よーストーブの上で焼いて食いよったとさ。 でも全然延べ棒型じゃなかとけど、なんでか? どうやら餅と混ぜ合わせて作るらしかとばい。
へー。 このカラカラが、あがんモッチリなるとばいねー。
いつ完成するとね? って聞けばもうすぐって言いよったばってん、半年先の事も「もうすぐ」って表現する人々やけんね、マメに連絡するしかなかやろね。
※カンコロモチの作り方:まとめたぞ!