酒の楽しさを再び教えてくれたのはグラッパだった
友人と五人でさんざん飲んで、おとなくし帰ろうかと団子になって歩いていたら、なんとも雰囲気の良いバーに差し掛かってしまい。 フラフラあたかも予定に組み込まれていたかのごとく席についてしまったのだった。
「一杯だけ飲んで帰ろうか」
チーズと銘々グラスでワインを注文した中に、ひとりジェラートを注文した輩がいた。 彼はさほど量は飲まないにしろ、さんざん飲み食いした後だというのにまだデザート食べるかね。
完全にデキアガっている氏は、皆が飲む中ひとり黙々とジェラっている。 口に含む度、顔を鶴瓶師匠のようにほころばせる。 そのあまりにも幸せそうな表情を見ていると、なんだこちらも食べたくなってきてしまいたまらず注文した。
たしかに旨い自家製ジェラートだ。 フルーツの美味しさも際立っている。 しばらくワインを止めて黙々食べたがこれは素敵だ注文する価値はある。
ここでつい、メニューにグラッパを文字を見つけてしまったのだった。 普段飲む酒ではないが、その気にさせたのはまさにこのジェラートの力である。
舌に広がる心地よいぶどうの甘味。 喉を通り抜ける強いアルコール。 胃に収まった時のほっこりした温かさ。 残り香の漂う鼻腔。 ジェラートとの恐るべき相性。 どれをとっても並ぶ酒がない。 「グラッパってこんな旨い酒だったっけ?」
あとはただもう、グラッパ祭である。
氷を入れたりお湯割りにしたりもしてみたが、やっぱりグラッパは冷えすぎてないのをストレートで飲むに限る。 メニューにあるグラッパを手あたり次第注文しては飲み比べた昨夜だったが不思議と体が重くないのもこの酒ならではの魅力と言えよう。
最近酒に対してややマンネリしていたのも事実。 良い酒も悪い酒も、飲みつくした感があった。 そこに新たな風をよこしてくれたのが、このグラッパだったのだ。
グラッパとは
イタリア産のブランデーの一種。 ワインを作る際に残るブドウのしぼりかすを発酵、蒸留して造る。 フランスではマール。
オススメのグラッパ
本場イタリアのリアルト・グラッパ。 晩酌後のシメとして一杯呑んで寝る事にしている。