やわらかい水
雨の日に走っているとよく「大変ですね」と声をかけられる。
「まあそうですね…」と一応月並みな返事を返すようにはしているが、内心結構楽しんでいたりする。
夏。
走っていて時々汗のかきすぎか、頭がクラクラする事がある。 この時期の雨はハッキリ嬉しい。 あたかも空から自分だけをめがけてシャワーが降り注いでいるようにも感じられ、悠々自適に日課をこなす事ができるのである。
真冬の雪がドシドシ降り積もる中を走るのはもっと楽しい事を付け加えておこう。 大変そうにしているのは実は顔だけで、内心子供みたいにドキドキしているのだ。
今朝、梅雨らしいシトジトした雨の降る中走っていると、石垣にヘビを見つけた。 たぶんアオダイショウだと思われる色をしている。 そのヘビはニョロつきながら進むでもなく石ころにアゴを乗せてじっとだまっている。 死んでいるのかとも思ったが、時折舌をペロッとするので健全である。
「しかしよく降るよね最近」
とでも言いたげなどこか寂しい顔をしていた。