やきとんの聖地 人形町 ひょっとこ
たまたま目にした冊子で知ったこのお店。 名物レバテキの旨そうな写真につられて足を運べば満席だった。
カウンター8席にテーブル4席。 10坪弱の店内はサラリーマンが8割。 男女比率は半々といったところか。
日を改めてあらかじめ、予約の電話を入れてみるも満席で。 そもそも予約は18:00までに来店する分しか受け付けていないらしい。 この事実に、翌日開店と同時に伺うよう決意したのだった。
17時の開店に合わせて飛びこんだ。
驚いたのが、すでに常連とおぼしき人が生ビールを飲んでいる事だった。 さっそく品書きに目を通し、名物と謳われているレバテキを注文した。 飲みながら待っていると、突出しが出てきたが、その盛りの立派さにこの店の精神が垣間見えた。
神のレバテキ
まだキュウリもかじり終えない頃 、早速レバテキが運ばれてきた。
おろしニンニクがたっぷりと添えられている。 山盛りネギの下には、一口で頬張るには大きすぎるほどの質量を誇る「レアレバー」の塊が埋まっている。 胡麻油がフワリと香る。
レバーをネギと一緒につまみあげ、ニンニクをデップリつけて、口に放りこんだ。 ジャクジャクとした高鮮度肉特有の歯ごたえに、豊かなコクが舌上を広がる。 すぐさまビールで流しこめば、胃が嬉しくて泣いている。
2つめをつまんだところでいざ焼酎を注文した。 以降延々とレバーをつまんでは酒で流しこむ作業を黙々繰り返す事になる。 この楽しみを失うのは惜しいから、できれば半分のサイズにレバーを切ってくれていたらどんなに幸せだろうか、何せ倍の時間口にする事ができるようになるからだ。
それほどこのレバテキを失うのが惜しい。
薬味と一緒につまむも良いが、オススメなのがレバーを丁寧に掘り出して、ただそれのみにかぶりつくという技。 この店のレバーの凄さが身にしみて理解できる。
とにかくボリュームがあるから、この一皿で五合の焼酎は呑めてしまうほどである。 我が人生至上のレバーは人形町にあったのだ。
やきとん
九州人にとって、やきとんという呼び名に馴染みはない。 焼き鳥屋に定番の「豚バラ」も立派な焼き鳥の一部だという認識であり、これをわざわざ「やきとん」と呼んだりはしないのだ。
ひょっとこは「やきとん屋」だから、やはり注文せずには退店できない。 心の中では「レバテキのおかわり!」と宣言したい所であったが次回の楽しみとしようではないか。
盛り合わせがお得である。 どの串もまた、レアな焼き加減がもうたまらん。 この段階でもう、焼酎をだいぶおかわりしていたのだがもう酒が止まらなくなっている、明日の事なぞもうどうだってよい。
総括
となりの客がちびりちびり刺し盛り三点セットをつまんでいるのをだいぶ前から確認していたが、どうやら今回はそこまでたどり着けないようだ。 だってもう、大将が三人に見えるよう目がボヤけてしまっているからだ。
実は酔って目がくらんだのではない。
この店は大将と、ふたりの息子さんで切り盛りされている。 焼きに没頭している大将と、息子さんたちの無駄を省いたクールな接客が見ものである。
このあいだジビエを食べに行った際、落ち着きのないタメ口の兄ちゃん二人組にベタベタ接客されて食欲が失せ、肉はおろか酒も頼まず逃げるようにして店を出た事があったが、まさにその真逆を行くおもてなしである。
17時の開店に合わせて飛び込むと幸せになれる店だ。
あわよくば、日本酒と焼酎の銘柄がもう少し豊富だと有難いと思うが、でもそれだと腰が重たくなっちゃうか。
人形町 やきとん ひょっとこ
- 東京都中央区日本橋人形町3-4-8
- 営業時間:17:00~23:00まで
- 定休日:日曜・祝日
- でんわ:03-3664-9875
- 予約は六時まで承ります。