地鶏の王様:名古屋コーチン
コーチンのモモ肉
「地鶏にしてはガリガリ固くない優しい食感の鶏」というおぼろげなイメージしか持っていなかった名古屋コーチンの各部位を堪能する機会に行き当たった。 まずはモモ肉。 目の前に一枚広げると、並の鶏より二回りほど小ぶりである。
唐揚げ、鍋、焼き鳥など様々な調理法が頭をよぎるところ、やはりコーチン本来の味を知るにはレアを楽しむ鶏のタタキである。
美しいチェリーレッドの肉をまず皮面から網焼きし、焦げ目がついたところでもう片面も焼く、というように調理しようと思っていたのだが、もはや一刻も早く口にしたくて一瞬炙るだけで器に盛り付けた。
まず何もつけずに肉のみをつまむ。 深いコクと、まろやかな甘味が舌の上に広がる。 これにはたまり醤油やポン酢を合わせるよりも塩と山葵が良いハズだ。 脂がまたクセがなくて良い。
こんなに旨い肉、たったこれぽっちじゃ足りないや、と二切れつまんだところで全景を見てくやしがっていたところ、いざ呑み進めば量より質を地で行く塩梅、大満足でシメへと向かったのだった。
コーチンのササミ
もはや期待度は最高潮。 ササミもやはり小ぶりである。 艶やかなアメ色をしたササミは、湯通しするのもはばかられるのだが、そう調理してほしいと要望があったから仕方なく一瞬湯にくぐらせた。
実は調理人の特権として一本別にのけておいた。 こっそり刺身でつまんだら、かすかに卵黄の味がした。 至極濃厚。
レバーとハツ
レバ刺に決まっているでしょう。 ハツは縦割りして中の血を取り除き、細切りにした。 レバーはそのまま薄切りに。 胡麻油と塩を用意したがまずはそのまま食べて味の感想を。 ハツに関してはコリカリとした心地よい食感以上は何も感じないほど鮮度が良く臭みも無い。
ハツだと言われなければ、何を食べているのかを言い当てる事ができる人は希だろう。 レバーはもはや神の領域。 レバーの良い部分だけを強調し、嫌な所を一切排除した味。 人生最高のレバーは名古屋にあった。
名古屋コーチン
中国産のニワトリをコーチンと言う。 名古屋コーチンはこれに名古屋産の地鶏を交配したもの。