飲み談義
重雄氏:
だからね、ダシノモトなんちゅう即席もん使ってね、旨い味噌汁作れるか!っちゅーの。
「顆粒を湯に溶かすだけでカンタン!」なんて宣伝してるけども、鰹節と昆布でキチンと出汁を引いたところで大した手間なんてかかりゃしねーんだよそもそも。
朝起きて、水張って、昆布入れときゃよ、昼にはもう立派な鰹出汁が楽に引ける、ちゅうもんなの!バカ言うんじゃねえよったく。
武司氏:
厳密に言うと、昆布を入れた水を火にかけて、沸騰寸前に引き上げる、なんて言いますが、これは本来沸騰寸前だと少し遅いワケでありまして、厳密にいうと、68度あたりで引き上げるのが、一番上質なオダシを醸せる寸法になっておりまして・・・その後鰹節を加えますが、これもやはりグラグラ煮てると上手にオダシが出ませんから、適宜湯温を気にかける必要がございます。
玲子嬢:
ねえ武司、あんたみたいなコムツカシイのがいるからね、普及しないのよダシの取り方ガ! コンブとカツオで一からダシをとってみたいとせっかく思い立ったのに、アンタの話聞いてたらやっぱりダシノモトでもイーやメンドクサい、ってなっちゃうじゃないノ!
アタシね、いつも朝起きてすぐにボールに水を張って昆布を一切れ、干し椎茸を一個、煮干を5本入れてね、フタをしてお昼まで置いとくノ。 そしていざそれを火にかけて、ワーと沸いたら昆布だけ上げて、あとはそこへ山のように鰹節を加えてコトコト15分煮るの。 え?煮干しの頭とワタは抜かないのかですって?!
取るわけないでしょ! ヒトが話してんのにヨコヤリ入れるんじゃないわヨ武司ハ!
ええ、ちょっと目を離したスキに昆布が入ったままグラグラ沸いてる時もあるけどね、そんな味がガタ落ちするかといえばね、そんな事ないわヨ!
アクなんてほとんどすくわないんだからメンドクサい! それでも美味しいダシが取れるわヨ!
ダシをこす時もね、思いっきり絞るんだからカツオブシを! だってもったいないでしョ。
それでもね、ダシノモトでとったものよりも千倍美味しいダシがとれるわ。 武司、あんたみたいなのがいるから変に敷居が上がるのよ。 和装にしてもお茶にしても、嗚呼ウルさいったらありゃしなイ!
コリカタマラズにまずはやるだけやらせて、あとは本人次第で凝りたきゃそうしたらいいじゃないノ。
ちょっとお兄さーん、ハイボール三つさっき頼んどいたんだけど来てないわヨ!