金継ぎ

酒場で、鮨屋で、個人宅で目にする度に憧れていた「金継ぎ」に着手してみたのだった。
あいにくウチに欠けた器はごまんとある。 今回は愛用の焼酎グラスを金継ぎしてみる。

丸の部分がカキンと欠けた所。 こちらを金継ぐ。

まずはパテを練って、欠けた部分を埋める。

パテが乾いたら、余分な所をナイフで削る。

削った部分を耐水ペーパーで磨き、凹凸を無くす。

本漆でパテを覆う。 と書けば簡単だが、漆の扱いが手間である。 まず肌についてしまうとかぶれるらしい。 そこで楊枝の先にチョンとつけて、チマチマとパテの上に塗っていく。
しかも!漆は湿気のある場所でしか乾かないというなんとまあ、不思議な性質を持つものなので、湿気湿気とウロついて、結局風呂場に落ち着いた。 家族皆の風呂が済んだ頃に見計らい漆を塗り、安置しておく。
と書けばすんなり行きそうだが、この漆というものは、垂れる。 なので途中で器の様子を見、たれているなら即拭き取らねば、固まってしまうと頑固である。 しかも、まるで湿気を吸いこみながら乾くように、薄く塗ったつもりなのに漆部分が厚くこんもりしてしまうので、極めて薄く塗る事がコツかと現状考えている。

仕上げに半乾きの漆の上から金粉をまぶしつけ、軽く真綿で押して結着させ、あとは2週間ほど乾燥させるだけ、と書けば簡単なようだがこれも一筋縄ではいかない。
まず漆の乾き具合を見極めるのにはある程度の熟練が必要で、早すぎれば漆が露わに、遅ければ金粉が付いてくれないというディレンマと戦わねばならない。
そして当の金粉だが、これがなかなか売ってなくて・・・結局金箔で代用してみるも、この金箔の扱いがまた神経を使うものであり、そよ風が吹けばヒラヒラ飛んでいっちまう。 窓ちゅう窓を閉め切り、息を殺して作業に徹す。
というように、あれこれ食器に金継ぎを施し、スキルアップを目指しているのが現状。 最近では漆を塗って、金箔を使わずそのまま乾燥させた器が、なかなか渋くてお気に入りである。
“金継ぎ” への1件のコメント
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まさしく、その通りですよね。欠けた器に施した金継ぎが新たな表情を生むところが好きです。私も風呂場を使いました。金箔を使われたのも正解だと思います。鼻息や人が後ろを通っただけで舞うのが難点ですが。自分でやってみると美しく仕上げる事の難しさにつくづく職人さん達を尊敬したくなります。でも下手な自分の作品でも愛着涌きますね。かけた手間の愛しさでしょうか。(子育てみたいです)