鯵素麺

昔、恩師につれられ長崎の某料亭に行った際、出てきた「鯛素麺」に度肝を抜かれた事があった。
巨大な鯛の姿煮が大皿に横たわっており、その所々に素麺が盛りつけられている。 甘辛煮汁でヒタヒタになった素麺を、鯛をむしりながらいただくのである。
話だけ聞いてもピンとこない不思議な料理だが、たちまち大皿が空になってしまった事を思い返せば、相当旨かったんだろうと思う。
素麺の美味しい季節である。 休日には具沢山のソーメンを皆で囲んでススル。 ススリながら、先の鯛素麺を思い出したのだった。
鯛があればよかったのだが、無いものはしょうがないので鯵で仕込んでみる事にした。 魚の食べ方について子供達は日頃から塩焼き、煮付けで訓練しているが、まだ幼い子もいるので、丸ごと煮つけた鯵を素麺とからめてしまっては、小骨が気にかかる。 そこで鯵は三枚におろし、丁寧に骨抜きにしてから煮付けた。
その煮汁はアジの煮びたしの要領で中骨と頭を焼いてから丹念にダシをとったもので、ウナギのかば焼きを喰いたくなる薫りが漂う。 生姜を効かせて仕込んだところ、たちどころに平らげてしまった。
すさまじく、美味しそう。
簡単ですし、是非試してみてください。 麺のコシなど関係なしに旨いですよ。