無職
無職である。
オオゴマダラのサナギのように、全身を黄金色に輝かせ、高級アクセサリーをジャンジャラ身につけているが、無職である。 友人の飲み友達の話だ。
少し前まで、ジムでインストラクターとして働いていたというが、その割には筋肉らしいものが見当たらない超細身の女性。 やたらと食べ物や酒に詳しいが、自炊は一切しない。 その知識は、飲みに行く先々で得てきたものらしい。
夕食は毎晩銀座で食べる(呑む)。
知る人ぞ知る店の常連で、そこに行けば必ず彼女はいる。 そこそこ高い店なのに、無職なのに、どうしてそんな生活をできるのかと問えば、店主と出身大学が同じであり、たったそれだけの理由で破格の待遇を得ているそうなのだ。
「なんかおごってもらう場面にいることが多くて、あまり飲食費ってかからないんです」と彼女。 そのほのぼのとした空気を漂わせる様に、皆ついご馳走したくなってしまうのかもしれない。
もちろん今回の飲み代も、我等のおごりである。
「そろそろ働こうかなあとも思うんですけどね」という彼女に焦りの色は皆無である。
謎・・というか、羨ましいというか、何というか・・見てみたいです。そんな女性。
いずれにしろ、無職でも動じない強さがいいですね。きっと、「運」も備わっているハズ。お友達だと楽しいでしょうねぇ。
なんと彼女、就職したそうです! どうしてこの会社を選んだのかや、前の会社を退職した理由が記されたメールがきましたが・・・思考法がまるっきり違う人物だということがあらためてよくわかりました。 面白い話なのですが、公にできない事が残念です。