落書き
夕食を終えた長男が教科書の朗読をはじめた。 これも宿題のひとつらしい。 朗読を聞き終え「ちゃんと読んだ」というサインを済ませてから教科書を借りてみた。
アーノルド・ローベルの『お手紙』。 この物語、たしか昔の教科書にもあった気がする。 読んだことがあるように思えるし、絵を見たことがあるような気もする。 教科書の中身ってあまり変わらないものなのだろうか。
つい熱中して読みふけっていると、あるページに息子の描いた落書きを見つけた。 キングギドラ風の、レトロな外見をした怪物を描いている。
我が子の落書きをはじめて目にした瞬間。 わかるわかる、何気に描いちゃうんだよなあ。 他のページもペラペラめくってみたが、落書きがあるのはそのページだけだった。 スケッチブックに一生懸命描いた絵もステキだが、こっちの絵にもなかなか味がある。 もっと落書きを見てみたい。 落書きには、落書きにしかない味がある。 若干の後ろめたさからくる哀愁がある。
落書きをまじまじと見られるのは描いた当人として、あまり気持ちの良いものではないだろうから、キングギドラには気づかなかったフリをした。
教科書の隅かあ。