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美味かもん雑記帳 > > > うすはり
2010/11/09

うすはり

日本酒に強い居酒屋だという。

このあたりの酒飲みならば知らぬ人はいない店なのだとか。

入口にはエビスのたて看板があり、そこには今日のオススメが記されているのではなく、入店に際し、いくつかの諸注意がある。「1、全席禁煙。 2、大声で騒がない。 3、ベロンベロンに酔わないこと」 かなり低い位置に丸い酒林が吊るしてあり、それを避けるようにして店の中へ入る。

日本酒の一升瓶がずらりびっちり詰められた大型冷蔵庫が、3台並んでいる。 その様はまさに圧巻。 全国の蔵元の前掛けが壁面を埋め尽くしている。

とりあえずエビスを一杯注文し、メニューを眺める。 各種珍味から焼き魚まで、日本酒に合うサカナが集結している。 全部メモりたかったぐらいだが、早く飲みたいのでそのヒマがない。 おっとここでまた嬉しい情報が。 「当店は牡蠣にも自信あり」と書いてある。 生牡蠣は各産地のものを取り寄せていて、カキフライは人気のメニューなのだとか。 嬉しすぎる。

気がついたら目の前に突き出しがあった。 それを見て思わずニンマリしてしまった。 突き出しは、しじみの味噌汁だったのだ。 飲んだ後のシメとして味噌汁をススルことはあるが、飲む前にススッテしまうとは・・・しかも酒飲みには嬉しいシジミときた。 この店、イイ。

となりのテーブルでは二人組の客がスパークリングな日本酒を一本注文したようだ。 まだ20代だと思われる店員さんが、そのように説明している。 フタをクルクル回して開封する様子を眺めていると、店員さんは目を見張る動作をした。

左手で瓶を保持し、フタに右手をかけたかと思えば一旦その手を離し、まるで浦沢さんの『MONSTER』に出てきたルンゲのように指をカタカタ動かした。 これは何かデータを引き出そうとしているキッカケなのか、それとも開封することに緊張しているからなのか、わからない。 とにかく、日本酒を一本開封するにしてもかなり真剣なのだ。 眼光鋭い。

再びフタに手をかけて、ほんの少し封を開けた。 スパークリング故、瓶の中の酒はツーッと口まで上がってきた。 そこですぐさまフタを閉めた。 酒はツーッと下がっていった。 それから一旦手をはなし、再度指をカタカタしてからフタをつまんで、ゆっくりと開封した。

安堵の表情を浮かべ、店員さんは去っていった。

ビールを飲み干し、酒肴数品を注文した。 日本酒は種類が多すぎて、どれを飲んだらよいのか決めあぐねてしまいそうになるが、適当にイロイロ注文していれば、そのうち自分好みの銘柄が見つかるだろう。 ちなみに店側のアドバイスとして、刺身に合う酒はこの辺、生牡蠣に合うのはこの辺という表記もされてある。 さらにはメニューに載っていない酒もある。

注文した日本酒が一升瓶ごと運ばれてきた。 目の前に小さなグラスが置かれ、何々のどこどこの酒です、という説明と共に、トクトクトクと注がれる。 コップの口、表面張力崩壊寸前のところでピタリと注ぐのを止める。 一適もテーブルに落ちない。 大したもんだ。

そのままコップを手に持とうにも、持った瞬間酒がたれてくると思われるので、口をコップまでもっていってススリ、それから持つことにした。 注いでくれたのは、さっきの若い店員さんだった。 少し話をしてみると、なんとこの店の店長さんだった。

サバのへしこが旨かったので、つい一気に飲み干してしまう。 そして次の銘柄を注文し、北海道産の生牡蠣を飲み込みながらまた一杯、一杯と、次々に酒を飲む。 大体このような店はオイ向きではない。 量を飲むのでいちいち小さなコップに注文するのは面倒なのである。 もう、一升瓶ごとデンと注文したいのだ。 それを好きなペースで、好みの肴で、グビグビやるのが至福のひととき。 それにしても、何度注文してみても、一適たりとも日本酒をこぼさずに並々限界まで注ぐ技術は大したもんである。 しかもこの技は、限られた店員だけができるのではなく、誰に注いでもらってもそうなのだからすごい。

ここいらで熱燗を注文する。 肴はホウボウの一夜干しにした。 こりゃあ、一人で行くには最適な店だなあ。 でもカミさんを一度連れて行きたいなあ。 酒は飲めなくても食いもん旨いし。

つい長居してしまった。 これから鮨屋に一軒寄って帰らねばならないのだ。 そろそろお会計といきたいところだが・・・何々利き酒セットか。 じゃあ、これ飲んで終わりにしよう。

小さくて湾曲したグラスが4つ並んで出てきた。 それぞれ特徴のある面白い酒だという説明だが・・・とにかく飲んでみる。 と、グラスを手に持った瞬間、その薄さに驚いた。 口につけてまだびっくり、非常に薄いガラスで作られたグラスなのである。

松徳硝子

酒は勿論美味しいが、このグラスは面白い。 欲しい。

大満足で店を出て、ホントはこのまま帰ってしまいたかったが約束なので鮨屋へ向かった。

何日かしてデパートをうろついていたら、あの時の薄いグラスに出会ってしまった。 3つ買って帰る。 このグラスは松徳硝子株式会社が造っている「うすはり」というシリーズだということがわかった。 グラスを吹いて作る際、まだ柔らかいうちに、一度吹いて膨らましたグラスを微妙に吸って形にへこみを作るらしい。 だから同じ形をしたものは無いということになる。

ご興味のある方は是非公式サイトをご覧あれ→松徳硝子株式会社

“うすはり” への2件のフィードバック

  1. 旋風z より:

    こんばんは~!
    うすはり。。。^^口当たりが良いですよね~♪
    此で呑むと…他のグラスやお猪口では。。。今一^^;
    オイラはうすはりの「大吟醸」で晩酌しています♪
    「大吟醸」小型タイプのぐい呑みも買いました!
    何でも昔 電球を作っていた技術らしいですね。。。
    ガラスの厚みは0.5mm程。。。
    思わず噛み砕きそうに成ります^^;
    只今 ごん鯵の刺身で。。。@晩酌中@@;

  2. オイ より:

    うすはりの大吟醸!これイイですねぇ。 形を見ただけで欲しくなりました。
    >思わず噛み砕きそうに成ります。
    すごくよくわかります。 とくに酔ってくるとあぶない感じになってくるんですよ。 とにかく破損に注意しないといけないので、子供の手の届かぬ所で保管しています。
    ごん鯵の刺身とは、羨ましすぎます。

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