ハイボール
近頃一緒に飲んでいる人がハイボールを注文することが増えた。 ウイスキーはロックしか飲まないから見向きもしていなかったが、こう度々目にすると、ちょっと飲んでみたくもなる。
隣で友達がチビチビ飲んでいるのをすこしもらってみると、やはりオイにはロックが向いているみたい。
土曜の夕方、近くにラジオがあればサントリー・サタデー・ウエイティングバー・アバンティを聞く。 もう何年もそうしている。
「ウイスキーがお好きでしょ、もう少ーし、お好きでしょ。 ララララー」ここでもハイボールのCMが盛んだ。
スーパーで買い物中、サントリー山崎のハイボールセットを見つけた。 「山崎でハイボール作るとうまいのかもしれんなあ」と考えていたら、自然とそれをカゴに入れてしまっていた。
そもそもハイボール(Highball)とは何かというと、ふつう「ウイスキーのソーダ割り」を指すが、ウイスキーに限らず酒を、氷の入ったグラスに注いで、ソーダもしくはジンジャーエールで割ったものをいう。
アメリカ生まれであり、日本でもトリス・バー全盛の時代には「トリハイ」として親しまれていたそうな。
ハイボールという名の由来
ゴルフ場で順番待ちをしていた男がソーダ水をチェーサーにしてウイスキーのストレートを飲んでいた。 スタートのコールを聞いたので、とっさに飲み残しのウイスキーをソーダ水に入れて飲もうとしたところへ、前の組が打ったボールが高く上がって男の真横に飛んできた。 そこで彼が「なんちゅうハイボールや!」と叫んだところからこの名がついたという説。
ハイボールという名の由来その2
本来、丈の高いグラスを用いるからだという説。
さておき、自分が好きなようにウイスキーを注いで作ってみると、これがなかなか飲める代物だということがわかった。 晩酌をハイボールで締める、ということにしてもいいかもしれない。
開高健の『最後の晩餐』にこんな話がある。
二十余年前、作家として登録されるより以前の頃、洋酒会社の宣伝部員として、明けても暮れても私はハイボールの宣伝に没頭していたが、いつからか誰がいいだしたのか、ウィスキーをソーダ水で割るとインポになるから水割りのほうがいいのだという噂がたち、必至になって防戦につとめたけれど、とうとう水割りにやられてしまったこと、いまだにそれがつづいて水割り大流行がいっこうに衰える兆しのないことなどを思いあわせたりする。 薄荷やソーダ水でほんとにアレはおとなしくなるものなのだろうかネ? たかが煙や泡水で?・・・・・・
最後の晩餐は、1979年に単行本として刊行された。 いまから約30年前の話である。
今ハイボールが人気なのは、リバイバルヒットっちゅうことなのか。
ということは次に流行るのは・・・・・・。

メモ
※山口 瞳は新橋のジョンベッグという店のハイボールに一時凝っていたそうだ
ウイスキーのストレートが飲めない人は、是非ハイボールをオーダーするよう勧めている。 水割りが旨いと思うのは錯覚にすぎない、という。 強い酒は、強い度数で飲むほうが旨い、とも。
ハイボールこそバーテンダーの腕のみせどころという(『酒呑みの自己弁護』より)。