ここでサバ
友達に子供が生まれた。
病室へ入ると、生まれたての赤ちゃんが母親(友達)に抱かれていた。 思わず息をのむかわいらしさ。 そういやウチの次女も、ついこの間までこんなんだったんだよなあ。 赤ちゃんっていつ眺めてもかわいいものだ、和む。
産んだばかりなのに母親は極めて元気だ。 「腹が減ってしょうがない」とつぶやいている。
院の食事だけではとてもじゃないが満腹にならないらしく、差し入れを手当たり次第にバクついている。
何故だか、ムショーに、焼き鳥を喰いたいそうだ。 スーパーから3パックほど買ってきてもらっていて、おいしそうにというか、むさぼるように喰らいついている。 母の強さが垣間見えないでもない。
そんなに焼き鳥食いたいんなら焼いて持ってきてあげたのに。 なんならここに七輪持ち込んでジュウジュウ焼いたってよかったのに。 「何々、おことわりだって、ああそう・・・」
着目したのはその焼き鳥の包装にあった品質表示ラベルだった。 「ふーんなるほど、コレってこうやってできてんだね」と眺めていたら「サバ」の文字に目が止まる。 「何故鯖が焼き鳥に・・・」
焼き鳥の鶏自体を鯖で代用しているという話ではない。 どうやらタレと、調味料に、サバが含まれているらしいのだ。 サバにそんな使い方があるなんて今はじめて知った。 それでにしても「サバ」を使うのと「サバエキス」を使うのでは何がどう違うんだろう? と、腕組んでつい考え込んでしまった。 となりでは鶏母が、「この子の名前、何にしよう?」と焼き鳥かじりながら考え込んでいた。