クロクチガイの味噌汁
近所に住む仲良しの婆ちゃんが歩いてきた。 袋を提げている。 たぶん、また何かくれるのだろう。 おとといはソラマメを頂いたばかりだ。 いつもありがとう。
手に提げていたのは、貝だった。 見慣れない貝だった。
「ああ、ありがとう。 ていうかこれ何貝? はじめて見たとけど」と言うと、
「バーカ、こりゃクロクチガイたいね、味噌汁で炊けばおいしかと!」という。 何年も近所に住んでいて、何故今までこの貝をくれたことがなかったの?と尋ねたら、この辺にはいないのだそうだ。 婆ちゃんも、友達からもらったのだそうだ。
小型のムール貝みたいな形をしている。 ムール貝の和名はムラサキイガイ。 この貝、すごく似ているけれど、ちょっと小さすぎるような気がする。 でもとりあえず食べてみる。
婆ちゃんは「このクロクチガイと、新タマネギ、そしてジャガイモの組み合わせで味噌汁を作ると今の季節、この味にかなう汁はない!」と断言した。 ならばその通りに作ってみようではないか。
「フーッ、フーッ・・・」口をつけようと椀を近づけると磯の、貝の香りがふんわりと顔を包む。 すするとまるでハマグリを濃縮したような貝味がして、ホロホロとくずれるジャガイモ、甘みのある新タマと不思議に調和している。 言われなければこんな組み合わせはしなかった。
婆ちゃんの言うとおり、ホント美味しい貝だった。 それにしてもこのクロクチガイという名前、図鑑で調べても出てこない。 正式名称なのか、地域の呼び名なのか、その辺が魚介類ってムズカシイんだよなあ。
はじめまして。
いつも楽しく拝見しています。
ところでこの貝、「イガイ」(標準和名も「イガイ」)という貝です。大きくなると殻長20cmほどになります。
ムラサキイガイよりも濃厚な味で、各産地ではムラサキイガイよりも高い評価で流通しています。
duoさんはじめまして。 コメントありがとうございます。
クロクチガイの正体が判明し感激です!さっそく今日にでも婆ちゃん所へ、差し入れでも持って、本当の名前を教えに行きます! ありがとうございました!!!