焼ける
晩酌の後居間に横になったのがいけなかった。 電気カーペットのホカホカに負けたのである。
2、3日前、子供たちの通う保育園の先生と話をしていたら「散歩すると春がそこらじゅうにありますよ」といっていた。
もう電気カーペットは取っ払ってもいい頃なのかもしれないが、朝晩ちょっと欲しいんだよねえ。 ボーっとテレビを眺めていたら、寝てしまっていた。
夜中にフと目を覚ました。 「あぁ、またここで寝てしまったのか。 さあ、起きて寝室へ行こう。 さあ、起きて・・・でももうちょっとだけこのままで。」
いつの間にかまた寝てしまった。
しばらくしてまた目が覚めた。 今度は熱かったからだ。 「アチッ」と声に出すぐらい背中がヒリヒリしたのでガバリと起き上がると、電気カーペットの上に敷いているマットをすっぽりとかぶりこんでいたのだ。 直に電気カーペットに接していた背中が悲鳴を上げたのだった。 おまけにマットで保温されていたからそれはもう、甘酒でも仕込んでいるのかという状態。
「くーっ、これはキビシイ、こんなんで眠れるはずがない、明日にひびく、さあ、寝室へ・・・でももうあと5分このままでいよう。」寝てしまった。
「アチッ」
横っ面が熱くておきた。 直に接していたのだ。 今度はマットの一部をはがし、そこに顔をあてて寝ていたのだ。 何やってんだオレ。 気づくと体中が熱いようだ。 これじゃまるでサンマを焼いてるみたいだ。 彼らに意識があれば、同じように熱ち熱ちってなるんだろうなあ。
と、色んなことをぼんやりと思い浮かべていたらまた眠たくなってきたのでもうちょっとこのままで・・・とはならない。 このままいくと、全身が低温ヤケドになっちゃうかも。 ここ一番、気力をしぼりだしながら、ほふく前進でオオサンショウウオのように寝室へ向かった。
やっぱりベッドは気持ちがいい。 子供たちの寝息がスースー折り重なる中夢ひとつ見ず爆睡した。