犬の日(戌の日)とは何?
戌の日というのをご存知だろうか。
犬(戌)は一度に子供を沢山生みながらもきわめて安産である。 それにあやかり妊娠5ヶ月程度になったときにお参りにいくというようなお話。
戌の日参りにいくのはもう3度目で慣れっこである。 お坊さんが腹帯をお払いしてくれるのを、夫婦共々神妙な面持ちでじっと待つのである。 無論、妊娠5ヶ月になる妊婦さんというのはオイヨメだけではなく、沢山の妊婦さんたちが戌の日のお参りにきているわけだ。 中には1人目2人目のお子さん連れの方もおり、お払い中にお寺の中で必死になって遊んでいる。
静寂の中、お坊さんがナムナムと腹帯のお払いをしている。 ときおり「キャキャッ」とかいう子供の遊び声が聞こえる。 しばらく経つにつれて、その遊び声はだんだんと大きく、激しくなってくる。 「トォーッ」とか「ガッハッハー、ブリッ」とかエスカレートしていき、ついには仏像の頭をペチペチ叩きはじめたり、鈴をチンチンと鳴らしたりしはじめる。
保護者は顔を赤らめながら小声で「やめなさい、やめなさいよ」なんて言ってるが、そんな言うこと聞くわけがない。 ついに保護者はキレて「やめろっつってんだろオ?」と凄む。 仕方なく子供達は座る。 オイの横にもひとり座った。
となりの子供、正座をしてはいるものの、退屈でしょうがないといった顔をしている。 目が少し合ったので、白目をむいて笑わせようとしてみる。 「クスリ」と若干ウケた。 気をよくしたオイは、その他自分ができる全ての顔芸を駆使し、子供を笑わせようとしてみる。 「ブブブブ・・・」と、笑いをかみ殺しながら子供は耐える。
瞬間、小指を思い切りひねり上げられ激痛が走る。 やってることがヨメにバレたのだ。 これにて無音の中で繰り返されていた顔芸遊びは終了となった。 しかしお払いって結構長いこと時間かかるものだね。 今の気持ちは、おそらくとなりの子供とまったく同じだと思う。