日常
京都にて
先日向かった京都での話。
天気予報では「これから雨が降るかも」というのでホテルで傘を借り外へ出た。
祇園の小道を散策していると、人の気配がするので振り返れば、着物を着た若い女性が歩きにくそうに速足で近づいてくる。 とっさに傘を傾け道を開けたら、彼女は私をそそくさと追い抜いてゆき、数歩先の丹熊の、のれんをくぐり奥へと消えていった。
何てことのない出来事ですら、ここではいかにも雅なのである。
午後のひととき
エスプレッソを飲みながらボーッとしていたら、ハエトリグモがブラインドのすき間を歩いていた。
そしてその背後にある窓ガラスには、もう一匹のハエトリグモが。 こちらは体格が大変よろしい。
この付近は、ブラインドにいるクモの縄張りなのか、彼はとっさにガラスへ飛び移り、じりじりと大きな相手に詰め寄りはじめた。
15センチばかり近づいた所で、やはり分が悪いと思ったのか、今度は相手を中心に円を描くよう上へ向かって移動し始めた。
勝機アリ、と踏んだのか体格に勝るクモは、自ら距離を詰め始めた。
瞬間、上にいた小クモは大クモに飛びかかった。
大クモは糸をかけるまもなく下へ落ちていった。