よぉ、寅
最近お気に入りの作業用BGMは、何を隠そう【男はつらいよ】である。
寅さんの流暢な口上を暗記してしまうほど、繰り返し全49作を流し観しているのだ、アマゾンプライムで。
子供の頃はテレビのロードショーで寅さんが放映される事を知った時、とても落ち込んだものだった。 この変な顔したおじさんを見て何が楽しかろう、もっと恐竜とか出てくる映画にしてよ、と。
ところがこの年になり寅さんを観ると、なんとまあ毎回心に響く物語がある。 寅さんの優しさが深く胸に突き刺さってくる。
毎回のヒロインを見るのも楽しみであり、リリーが浅丘ルリ子さんだという事を知り目を丸くし、真野響子さんの美しさに見とれ、ミヤコ蝶々さんのしゃべり口と声色がクセになってみたりもする。
映画冒頭の寸劇もまた見物である。
シリーズ一番のお気に入りは第17作であり、無一文の老人が実は…というアレである。
あの人はオコゼのごたる人たいね
という表現を昔よく耳にしたが、これは何も悪口ではない。 オコゼは外見こそミニクいものの、腹の中身は白々として美しく、ここから心がきれいな人を「オコゼみたいな人」と例えるようになったと祖母は言っていた。
つまりこれぞ、寅さんの事であるまさに。