しんしんという音が聞こえた

窓を開くと、想像以上の積雪に驚いた。 一面生ビールの泡みたいにこんもりしている。
これじゃさすがに出歩けないな…車もダメか。 スタッドレスタイヤも持っていないし引きこもるしか手段はないか。
昼過ぎに宅配業者が荷物を届けてくれた。
「外どうですか、運転キビシイですよね」と聞けば「そうっすねー、道路はそこまで雪無いですけどね」という返事。 ノーマルタイヤでもイケるはずだと言葉を残してドライバーは去っていった。
その直後、外からドシンという鈍い音がした。 まさかと飛び出たら、その彼の運転するトラックが壁にぶつかり立ち往生をしている。 スベって抜け出せないらしい…これで今日車を運転する事を完全にあきらめた。
タクシーを呼んで仕事に向かう。 こんな日は電話で配送をお願いしても混雑していてつながりにくく又、来てくれない事も多いのだがラッキー、すんなり手配できた。
「すごい雪ですねー」と運転手に言えば「そうですねー、二年前の大雪以来ですかね」と返ってきた。
早くもチラホラ雪だるまがこしらえられている。 作ったのはたぶん子供ではない。 というのも、それらが立っている場所がことごとく商店の前だったからだ。
スマホに目を落としてメールのチェックをしていた所、ふと顔を上げて外を見れば、木々に降り積もっている雪の、舞うひとひらずつの美しさに気づいてしまい、到着するまでアッという間だった。