開・眼
キチンと手入れをしているハズなのに、たまに菜切包丁がくすんでいたり、小さな欠けが生じている事があり、その原因が長く分からずにいた。
犯人はそっけなく見つかった。 家内である。
包丁は彼女専用の、薄くて軽い洋包丁を与えているにも関わらず、どうしてこの度マイ庖丁に手を出したのかと聞けば、「切れなくなったから」だという。
「切れすぎて怖い」と、オレの包丁を使う事をこれまでかたくなに拒否し続けてきたのに、一体どういう事かと聞いたら、
「ウインナーが切りにくい」との事だった。 そりゃ、いくら研いでもあんな切れ味悪い包丁なんてウインナはおろか、トマトの輪切りもできやしないでしょうと言い続けてきたにも関わらず固持しつづけていたのにすんなり使うようになっている。
子供達の弁当作りに関しては、任せっきりになりたくないと包丁を握っているのだった。 もちろんインスタで見かけるような見栄え重視の盛り付けで「これ実際フタ閉まんないでしょ?」というような、「弁当で絵を書くな!」とツッコミまくりたくなるようなそれではなくうっすら茶色く、栄養バランスに優れた昔ながらの弁当作りをしているところは流石だ。
だから新たに薄くて小ぶりな菜切包丁を妻専用として調達したのだった。 今後も存分弁当作りに勤しんでもらいたい(とにかく俺の包丁で冷凍物を切って欠けさせたりする事故を防ぎたい一心なのだ)。
そういえば卵焼き鍋でササミ炒められてて泣きそうになった事もあったっけ。