Mighty Swallow
数年前にツバメの巣が近くの空家に作られた事があった。
珍しいので観察を続けたところ、ツバメはツバメで、卵として産み落とされた瞬間から様々なドラマの中で必死に生きている事がわかった。
以来、春になってツバメの姿を見かける度、「このツバメってあの時のツバメの子孫なのではかなろうか?」
という想いがよぎるようになった。
今「よぎる」と控え目に書いたが実は「絶対そうだよな」と内心思っている。 そのワケは、妙にこちらへアピールするよう彼らが飛行をくり返すからだ。 走っていれば、突如背後から頭上を追い越してゆき、こんどは超低空飛行でまるで先導するかのように滑空してゆく。
「今年も帰ってきたかんな!」
と声がするようでもある。
洗濯物を干していると、手すりにチョコンと座ってコチラを観察している。 目があっても、逃げない。 そのまま雑務を続けていると、ウチの子供達がやってくる。 すると、サッと飛び立ってゆく。 ひとえにこれも、彼女らはヒトを見分けて、我が身の安否を決定しているようでもある。
とにかくそういう目でツバメたちを見ていると、健気で可愛らしくて仕方がない。 米を撒いたら飛んでくる中にスズメも居るが、普段どちらかといえば好意を抱いている彼らでさえ、邪魔者に見えてしまうくらいツバメが愛しいのだった。