トカモツカワレルンデスカ

久しぶりに家内と二人で買い物に出かけた。
腹ごしらえの後いざ買い物へ。 この買い物に付き合わされるのが苦痛なので同行したくないのだが、ポーターとして駆り出されてしまう。
相変わらずひとつの買い物が長い。 物を買いに来たというよりも、店員さんとおしゃべりをしに来たというほうが妥当。 まだ長引きそうなのでここはひとつ、ちょっとその辺をお散歩に…。
セレクトショップの店頭に別注スニーカーとやらが置かれてあり、やけに発色が良かったのでつい近寄って手に取った。 ためつすがめつしていると、奥から店員さんが近づいてきた。
店員氏:「スニーカーとかも履かれるんですか?」
若い男性店員は爽やかな笑顔でこう尋ねながら、やや腰を落として両腕をハの字に開き指先をピンと伸ばして掌をこちらに向けて頭を20度向かって右に傾けている。
「ええまあ(履かなさそうに見えるのかな)」
店員氏:「これって、別注で入荷が少なく云々〇△……」
長大な商品説明が始まったので、別の場所にしれっと移動した。
シンプルで質感の良いカードケースが目に入ったので、手に取りためつ、すがめつ。 するとまたさっきの店員氏が近づいてきて「名刺入れも使われるんですか?」と笑顔で尋ねてくる。
「ですね」
その後春物のテーラードジャケットやベルト、ブリーフケースを物色したが、その際もれなく「とかも使われるんですか?」がついてきた。
あきらかに新人の店員さんなのだろう。
客に何と声をかけたらよいのかイマイチまだつかめていないのかもしれない。 しかし「とかも使われるんですか?」と繰り返し聞かれても客は困る。 たぶんこの店内に陳列されているほとんどのアイテムは使う事があると思うのだ実際。
もうすこしなんちゅうかこう、思わずハタと膝を打ってしまう接客を体得してもらいたいもんだと、陰ながら応援している。
ベルトをひとつ購入した。 レジに持ってゆくと、とそそくさと回り込んだ店員氏。
支払いの際、カウンターの上にある分厚い飴色をした革製の釣銭入れが目についたので「これはかなり素敵ですね」と言ってみたところ「あ、つり銭受けとかも使われるんですか?」と来るかなと思いきや「あ、それお店の備品です」と実にアッサリしていた。