大した男
朝、登園しようと勢いよく玄関のドアを開けた子供たちが「ギャー!」と騒いでいる。
ドデカい犬でも横切ったのかと思いきや、地面を指差して大盛り上がりだ。
何かと外にでてみると・・・ここに書くのは、はばかられる物体が道路に広がっていた。 飲み屋街のすみっこにあったりするアレである。
それを見たカミさんは「これはネコの仕業では?」と言ったがそうではないとふんだ。 だって、近くにもう一箇所あるじゃん。 ネコたちって、連続でやらないでしょう。 一箇所に少量でしょう。 であるからして、これは人間の仕業に違いない。
と結論付けてから、ホースを引っ張り出し、一気に側溝へと追いやった。 「これにて退治終了!」 子供たちは駆けていった。
その日の晩、玄関のチャイムが鳴った。 出てみると、近くに住む青年である。 「あれ?どうしたとまた急に」
なんでも、今朝の物体は自分の仕業だと言う。 だからお詫びのしるしとして、子供たちにアイスクリームを買ってきたのだとか。 「飲みすぎましたごめんなさい」とバツが悪そうにしている。
大した男だ。
知らん顔しておけば、モノはもう無いことだし、誰がやったのかはわからずじまいだったのに。 それを自ら名乗り出て、おまけにアイスまで持ってくるとはワシントンか。 久々気持イイ青年を見た。
これまでこの物体にまつわる様々な人々とその対応を見てきたが、こんなに清々しい対応をした男をオイは知らない。 いや大した漢だった。