ハズメシ界のキング
バチバチ・・・ヂヂヂ、ジュー・・・。
香ばしい香りが立ち上る。
熱々をすぐさまタレの中に沈める。
「ジュー」っという音と共に、タレの上にうっすら脂の膜が広がる。
引き上げて、また焼き網の上に乗せ、こんがりと、焦がさないように焼く。
うなぎの蒲焼が旨いのはごもっともだが、うなぎのタレ自体が旨いのも当たり前の話。 なにせ、うなぎの骨からにじみ出たダシは加わっているは、うなぎを焼きながらいちいちタレに漬けるわけだから、うなぎの身のエキスがこれでもかと溶け込んでいるのである。
たとえばこれから毎日うなぎをさばいて焼いて食べたとして・・・その都度出る骨たちは全部焼いてタレに放り込むとして・・・タレが減った分は醤油とみりん、酒を注ぎ足していったとして・・・これを30年間一日も休まずに続けたとしたら・・・。
そんなことを想像しながら、余ったうなぎのタレを白飯に回しかけてかっこめば、見た目は殺風景でまぎれもないハズメシであるものの・・・むちゃくちゃ旨い。 勝手に「ハズメシ界のキング」と呼んでいる。