湯豆腐セット

そりゃもう11月に近いわけだから、朝晩は少々肌寒い。 鍋の季節である。
温泉旅行のお土産にと、湯豆腐セットなるものを頂戴する。 ほー。 こんなセットもあるもんだね。 ナカナカウマソウじゃないすか。 早速今晩は湯豆腐にしよう。

この湯豆腐セットには、豆腐2丁、ゴマダレ、湯、豆乳、薬味までもがご丁寧に同梱されている。 あとは自分で鍋さえ用意すれば、湯豆腐を食べることができるわけだ。 でも湯豆腐を食べる際に必須なのが、湯豆腐すくいである。 といっても大した道具ではない。 ザル状に網網したものを代用すればよいが、せっかくの湯豆腐なので、雰囲気だすためにも、湯豆腐すくいを是非買っておきたい。 200円ぐらい。

この湯豆腐の正式名称は、「とろける湯豆腐」である。 煮ているうちに、豆腐がとろけてくるわけだ。 さて早速作ってみようか。 まずは土鍋にペットボトル入りの水を注ぐ。 「湯豆腐用調理水」なんて書いてある。 気になるので一口飲んでみると、うっすら塩味がする。 というか、すごく薄めたニガリというかんじ。
そして、豆腐を八つ切りにして入れる。 点火。 一応、この木綿豆腐がどの程度の味なのかを知るために、ひとかけら食ってみる。 スーパーの豆腐よりもチョコットだけ美味しいかな、という程度。 そう、この豆腐は湯豆腐セットの豆腐だからね。 そのまま食ってもさほど美味しくないのは当たり前か。
だんだんと煮立ってきたら、豆腐を崩さないようにゆっくりと混ぜて、豆腐を湯になじませる。 そうすると、豆腐の表面が少し溶けてきて、湯が乳白色になるはずである。 が、ならない。 おかしいな。 豆腐はカドがとれてきているみたいなんだけど、湯は白く濁らない。 全然とろけてないし。 ここで作り方が書いてあるチラシを見てみると、
※昆布などカルシウムを含んだものを入れると、湯が白く濁りません。
なんていう注意書きがされてる。 こっちは湯豆腐だからと張り切って、昆布を入れておいたのにさ。 もっと早く言え。 速攻昆布を取り出す。
しばらく煮た後、仕上げとして、付属の濃厚豆乳をふりかけてから食卓へ。 その豆乳を入れると、当たり前だが、一気に湯が乳白色へと変貌した。 なんだ。 どのみち豆乳入れるんならさ、白くなるじゃん。

湯豆腐すくいで豆腐をそっと取り出して器に入れ、付属のゴマ醤油で食べる。 薬味として、ネギとショウガ、カツオブシが入っていたのでこれも添える。 一口食べてみると、辛い。 秘伝だというゴマダレが、辛いのである。 再びチラシを見てみると、その白濁した湯でゴマダレを割って、好みの味加減にすればよろしいなんて書いてある。 いちいちメンドクサイ湯豆腐であるが、言われたとおりにやってみると、やっぱりピンとこない味がするわけだ。
この湯豆腐があんまり美味しくない原因を考えてみた。 まず、付属の薬味類がマズイ。 ネギは乾燥ネギだし、ショウガは風味がまったくない。 よって、ネギとショウガは各自自分で別途用意しておいたほうがよい。 そして豆乳入りの湯がね、微妙。 かえって豆乳は入れないほうがよいのではないかと思われる。 要は、各自自分で別途お湯を用意し、それで豆腐を煮たほうがよろしいのではないかという結論。

そして秘伝のゴマダレ。 そもそもこの秘伝のゴマダレの味が微妙。 これもすりゴマに醤油とダシ、みりんや砂糖を混ぜて各自自分で別途作ったほうが良いように思われる。 そのゴマダレの存在自体をずっと秘伝にしておいたほうが良いように思われるわけである。 そもそも湯豆腐はゴマダレで食うよりも・・・・。 これ以上は言いますまい。
結論:湯豆腐は、豆腐だけをお店から買ってきて、あとは自分でイロイロ用意して食ったほうがウマイ。 その際、池波正太郎氏がおっしゃるように、大根の薄切りを豆腐と一緒に煮ると、豆腐が白くふっくらと、美味しく煮える。