美味すぎてもダメ
カップラーメンはウマイ。
コンビニなんかで新製品を目にするとほとんど買って食べてみる。 後乗せ式かやくだの、フタの上に置いて温めておいて、召し上がる直前にお入れくださいだの、「やけにコブクロがいっぱい入っていて、いちいち入れるのメンドクサイし。 全部一まとめにしろ。」なんて考えながら食うんだけど、昔と比べて随分美味くなってきた。
がしかし中には「正気かこれ?」なんて思う激マズカップメンなんていうのもチラホラ。 そこで今日はなんと、メーカーが美味しすぎる製品を発売しても売れないという日清食品部長の某氏のお話。
同社では試作品が出来ると下の肥えた社員がモニターになり試食をするのだそうだが、満場一致で「ウマイ! こりゃ売れるゾ! ウヒャ。」なんていう製品ほどダメなのだそうだ。
発売と同時にTVで大々的に宣伝をするわけだ。 そうしてそのCMをみた消費者達が試しに買ってみる。 「とりあえず買ってみよう」という試し買いのピークは発売から3週間目にくるとのこと。 7週目あたりになってリピート客「ウマカッタ。 もう一回買お。」という行動の波がくる。
発売前の試食でウマイと太鼓判を押された商品はこのあたりまではよく売れるとのこと。 7週目をすぎて売れ行きのカーブが上を向くか下を向くかが、カップメンの寿命を占うカギとなるらしい。 ヒット商品となるものはここから上昇カーブを描くわけだが、絶対売れる、といわれたものほどここから下降していくそうな。 そうして一旦下降を始めたら、いくら宣伝費をかけても回復しないという結果になる。
日清の会長、安藤桃福氏はこうおっしゃったそうな。
味がおいしすぎて、あるいは量がたっぷりとあって、十分満足すると、消費者に余韻が残ると。 口と腹の満足感が続く。 だから次に買おうと思うまでの時間が長くなる。 つまり2度目3度目のリピートにつながりにくくなる。
対して、「うーんウマイけどもうちょっとなんかこう・・。」とか、「ウマかったんだけど少ねぇーなコレ。」と、ある種の飢餓感を消費者に抱かせると、「次は満足できるかも。 よし。 もっかい買ってみよう。」と考えてリピートにはしる。 この積み重ねが爆発的なヒットにつながるというわけ。
つまり、「この値段ならばこの程度のお味でしょうな。」という消費者の中にいわるるひとつの尺度があるわけ。
-「読むクスリ」より-
口の肥えた飽食時代の消費者ではあるけれども、満足させすぎてはいけないと。 なるほどね。 でも消費者的には安かろう美味かろう量多かろうのほうが助かるよねウン。