超旨葱料理
まずネギが悪いということだけ申し上げておきたい。
オイは一体何をつまみあげているのか? それは長ネギの白い部分である。 ネギを3.5センチに切り、中身を抜いて、筒にする。 そこへ、コンビーフを詰め込んで、オーブンでこんがりと焼く。
これは東海林さだお氏が「ネギでお腹いっぱい@おでんの丸かじり」で披露しているオリジナルのネギ料理なわけだがビールとイケル。
これを沢山作ってつまもうと、長ネギを求めてスーパーへ向かう。 だがしかし、長ネギの質が悪い。 長ネギが2本束になって298円。 普段ならばせいぜい158円ってところが298円。 どーしたんだ長ネギ。 天候の影響なのか。 長ネギ買うのに300円支払うというのもなんだか勇気が必要とされるが、仕方がない。 美味しいネギ料理のためだ。 298円の長ネギを手に取る。
カゴに入れようとした瞬間、長ネギの異変に気がついた。 長ネギがなんだか、スカスカのゴワゴワなのだ。 よく見ると長ネギの表面は張りがなく、乾燥気味だ。 おそらく、この長ネギを鍋ものに使用すると、外側が固くて食べきれないと思われる。 多分年をとった長ネギなのだ。 なので使用する際は、長ネギ自体を一皮むいてから調理しなければならない。 一皮むくと、一回り小さくなる。
298円ネギのとなりには、普段見かけない中ネギというものが並べられている。 これはまさに長ネギを一皮むいた中身であり、一皮むくことによって小さくなった分、値段も安くなっている。 一束158円だ。
いやまてよ、298円ネギの一皮は、食用に適さない一皮なのであり、その一皮分を中ネギとの差額から算出すると298-158=140円となる。 長ネギの乾燥した分厚い一皮は、140円なのだ。
長ネギを298円で購入してもどうせ一皮むかねば食べることができないわけで、140円分の外側は廃棄処分となる。 中ネギは長ネギを一皮むいた状態で勝手にスーパーがそう名づけて販売しているのであり、丸ごと調理に使うことができる。
ただ、ネギコンを作るにあたり、中ネギ程度の太さでは、いささか具合が悪い。 コンビーフを詰め込みにくいのだ。 しかし長ネギを購入したところで、実際使える部分は中ネギと同じ部分になるわけだし…。
このような葛藤から作られたのが、ページトップの写真である。 中ネギで作ったので、旨いけど細い。 コンビーフをコツコツと詰め込んでいくうちに上手くゆかずイライラしてくる。 こんなに苦労しなければならないのは、長ネギの外側がゴワゴワだからであり、ゴワゴワの長ネギを一束298円で売るとはなにごとか、という怒りがこみ上げてきて、いっそうのこと、上等の長ネギを探す旅に出かけてみたいような気さえしてくる。 なのでこの一品は、上質な長ネギがあることを確認した上で作りはじめなければならない。
飲んでいるうちにメンドクサくなってきて、焼いた長ネギの上にコンビーフをのっけてつまむ、という風に調理法が変わってきた。 どっちにしてもウマカッタ。 長ネギのバカ。
天ぷらの食べ方
天ぷら屋に行くときは、
腹をすかして行って、
親の敵にでも会ったように
揚げるそばからかぶりつくようにして食べなきゃ。
と、池波正太郎さんが『男の作法』のなかで書いていた。 そうしないとテンプラ屋の親父は喜ばないそうだ。 油の温度を一定に保つのはムズカシイから。 酒も2本まで。 ガブガブ飲んだら天麩羅の味が落ちる。
昨日テンプラ屋さんで酒はおろか焼酎を何本も飲んだんだけどイヤやったかなー大将。 ごめんなさい。
ちなみにテンプラの語源には諸説あり。
外来語から転じたとの説が有力。 ポルトガル語で調理を意味する「tempero」。 鳥獣肉を使用しない精進料理であるから寺院「templo」。この2つが有力バイ。