飲み方
「高知の人の飲み方ってすごいんだよ」とM氏。
オイ:「へえ、藁で炙った戻り鰹のタタキ食べ放題とかですか? そりゃ最高ですね」
M:「違う。 あのねえ、高知県の有名なナントカという酒が出てきたんだよね」
オイ:「へえ」
M:「それを開けて皆注ぎ合って、では乾杯!というはじまりだったんだ」
オイ:「それ何ていう日本酒なんですか?」
M:「知らん。 うまい酒だなあ、とグラスをテーブルに置いたら、もうひとつグラスがあることに気づいたんだ。 一人につきコップが二つある」
オイ:「だからそれ、何ていう日本酒なんですか?」
M:「知らん。 しばらくすると、隣の人がその空いたほうのグラスに並々と酒を注いでくれるのさ」
オイ:「なんでまた?」
M:「知らん。 その注いでもらったほうの酒は、一気飲みしないといけないというルールだったんだよ。」
オイ:「何ちゅう、うらやましい話!でもそれってその飲み会だけの特別ルールじゃなかとですか?」
M:「知らん。 とにかく、自分のグラスの酒は飲むは、注いでもらったほうは一気飲みしないといけないわでもう、フラフラどころのさわぎではなかったワケ。 ぶっ倒れた。 それなのに高知の人はピンピンしていて楽しそうに飲んでいるのさ」
オイ:「何ちゅう、うらやましい話!でもそれってその飲み会だけの特別ルールじゃなかとですか?」
M:「知らん。」
※以上あくまでもM氏の証言です。
もしもこの話が真実ならば是非高知県に飲みに行きたい。
翌日M氏から電話があった。 なんでも財布を落としたのだという。 帰りのタクシーでそれに気づき、酔いが一気に冷めたのだとか。
そりゃそうでしょう。 で、その財布の行方を知らないか?という電話だった。
オイ:「さあ・・・そりゃ奥さんに死ぬほど怒られたでしょう・・・免許証やカードとかも入っていたんでしょう? 紛失届出しました?」
M氏:「・・・・・・・・・・・・まだ・・・・・・・・・・・・」
・・・実はその日、オイはテーブルの下に落ちているどデカく白い財布を見つけ、周囲に持ち主はいないかを尋ね、誰もいなかったのでお店の人に預けておいたのだ。 だからM氏から無くしたと話を聞いた瞬間、それが彼のものだと確信したのだった。
オイ:「もしかして、その財布ってこうデカくて白くありませんか?」
M氏:「なんで知ってんの!?」
ワケを話すと、大喜びだった。 即お店に取りに行くとのこと。
それにしても日本酒の銘柄が気になる。
開高健氏は造り酒屋を見つけると入っていって酒を飲ませてもらうそうだ。
酒をご馳走になっていると、主人が半笑いで店の奥から出してくる酒に気づくようになる。
ご先祖様が言い残した通りに、ちゃんと造った日本酒を別にのけておき、暗く冷たい場所でカメに入れて寝かせてあるそうな。 3年、5年、7年ものというヤツを。
日本酒の権威である坂口謹一郎氏は「まともに造ってちゃんと寝かせた日本酒のオールドは素晴らしい」というが、まさにそのオールドに開高さんは触れたというわけ。
飲んで驚き感動して「どうしてこれを売らないんですか?」と聞くと、薄笑いしながら引っ込める人、頭をかく人、モゴモゴいう人等あまり語りたがらない。
開高 健の『知的な痴的な教養講座』より極個人的に要約したもの。
もしかするM氏が飲んだのは、オールドだったのではなかろうか。
おひさしぶりです。
高知だけに土佐鶴関係とかじゃないんですか?笑
大学時代に四国一周一人旅行をして、高知に行った時は知らないおじさんと仲良くなって一緒に5人くらいと飲んだんですが、高知の人もピンきりで飲める人はアホほど呑めましたね。
たしかに1個はたたないコップ渡されて、片方に普通にグラス持ってました。酔っ払ってむこうがいい気分だったのか、6人の中で1、2番目に飲んでたんですが、若いからといわれて全部おごってもらえました。笑
あきおさんお久しぶりです。
>たしかに1個はたたないコップ渡されて、片方に普通にグラス持ってました。
えぇ!本当の話だったんですか! しかも立たないコップとは一体・・・こりゃあ是非高知に飲みに行かなければならなくなりました。 豪快な方々のいらっしゃる地域なんですね、高知がもっと好きになりました。