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2009/09/29

ここどこなんだよ!

とあるご夫婦と一杯飲みに行くことになった。

顔をあわせることはたまに会っても、飲みに誘われたのは今回が初めてだ。 待ち合わせの場所へ急ぐ。

すでにご夫婦は到着しており、こちらへ手を振っている。

「まずはこの前話した立ち飲み屋に!」とご主人。 いいですねー行きましょう。

5分ほど歩くと道路沿いに人だかりがあり、たぶんそこが立ち飲み屋なんだろうな、と考えていたらやっぱりそうだった。 満席ていうか、とにかく満員。 店の外まで客があふれている状態。 客なのか、通行人なのかも判断しにくい状態。 2、3杯飲んで、2、3品つまんで通行人のフリして帰ってもわからんのではないかという状態。 はやっている店だ。

キンキンのビールで乾杯!レバテキと串何本かを注文し、つまみながら立ち飲む。 たまにはこんな雰囲気もよいものだ。 軽く一杯飲んでから、すぐにお勧めの店へと移動するということなので、ややペースは抑え目にしているつもりだったのに、気がついたらガバガバ飲んでしまっている。 もう最後までこの店でいいのではないかという気に3人はなりかけている。 串も美味しいし。

しかしご主人、やはりどうしても連れて行きたい店があるとかで、移動することにした。

タクシーに乗り込み1000円分ぐらい走った。 着いたところは趣のある飲み屋街だった。 期待が高まる。

ご主人を先頭に店を目指して歩く。 奥さんは高ペースでビールを飲みすぎてしまったのか、少し足元がおぼつかない。 というか、ご主人は歩くのが早い。 ついていくのがやっとだ。 よほど早くその店に入りたいらしい。 こりゃ、多分酒がまわるな・・・。

歩き始めて10分ぐらい経過したのではなかろうか。 次の店に移動するのに10分歩くというのは結構ツライ。 あまり経験したことのない状況である。 なぜタクシーでもっと近くまで行かなかったのか?とか思い浮かんでしまう。 でもまあ、またビールが美味しく飲めるというものでしょう。

さらに5分ほど経過した。 これまで歩いてきた道のりには、美味しそうな鮨屋や割烹、ホルモン屋などがあった。 額に汗するこの状況では、もう何屋でも美味しく見えてしまうのかもしれない。 喉が渇いた。 あれ、奥さんは・・・ゲッ、ヨロヨロだ。 奥さんを連れに10メートルほど戻る。

ご主人は鉄人のごとく、ペースを崩さず歩き進む。 酒飲んでいるのに競歩か!というぐらい早く歩けるのはどうしてだろう。 もはや酒を飲むとかそういう雰囲気ではなく、ご主人の人間的考察をはじめてしまう。 酒はすっかり抜けてしまった。

「だからどうして店の前までタクシーで行かないんですか?」という言葉が喉元まで来ている。 奥さんの体力はもはや限界だ。 ここらで一休みせねば、もうついてこれないだろう。 いやしっかし歩くなあ。

あれ?この店なんか見覚えあるな。 あ、そういえばさっき似たような店を通り過ぎたような気が・・・もしかしてチェーン店?でもその雰囲気ではないし・・・さては・・・さっきこの道通った?

すぐに奥さんにそう尋ねてみるが、奥さんはもうそんなことはどうでもいい様子。 とにかく限界が近いのだ。 とりあえず休ませておいて、ダッシュでご主人に向かう。

「ご主人、この道ってさっき通りませんでしたか?」と聞いてしまった。

「うん」とそっけない返事が返ってきた。 あれ?今「なじみのいい店」に向かっているのではなかったのでしょうか。 場所を忘れたとかいう話はありえないし、もしかして今目指しているのははじめてのお店なのでしょうか?

そうだった。

ポケットからタウン紙の切れ端を取り出して見せてくれた。 なるほど、この店かーといってもこの辺に土地勘はない。 早速電話をかけてみる。

オイ:「あのー今そちらに向かっておりまして、ちょっと場所がわからなくて。 近くにいるのは間違いないと思うのですが、ちょっと案内していただけませんか?」

店員:「はい、ありがとうございます。 そこからでしたらもうすぐです。 でもお客様、実は当店はあと20分で食べ物のラストオーダーをむかえてしまうのですがいかがなさいましょうか・・・」

オイ:「・・・・・・わかりました。 ではまた次の機会に」

さんざん歩いたあげく店をみつけられず、いざ見つかったと思えばラストオーダー寸前。 なんじゃこら。 とにかく、適当にその辺の店に入って飲みなおしましょう。 また今度その店には行きましょう、とご主人に言うと、なんだか納得できない様子。 どうしても、目指していた店に行きたいのだとか言う。 もはや何を食いたいとか飲みたいではなく、その店にたどり着くことが目的となってしまっているのだ。

はっきり言って、そんなことは一人でいるときにやってもらいたいものだが、とにかく気が治まらないならば行ってみましょう行きましょうではありませんか。 いーですよこうなったらもう。

再び店に電話して案内してもらい、ようやくたどり着いた。 奥さんは・・・気分が悪いそうだ。 当然。 ビール2杯とウーロン茶一杯を注文し、乾杯。 キンキンに冷えたビールの美味しいこと。 まるで真夏の一杯のようだ。 さあ、ご主人、この店はじき閉店です。 出ましょう。

行ってみたかった店にたどり着いて満足したご主人は、適当に入った次の店では大はしゃぎ。 焼酎を片っ端からロックで飲み進んだ。

こちらも負けてはいられない。 カラスミを注文し、日本酒を片っ端から呑みはじめる。

奥さんは・・・・・・復活した。 ワインを注文し、ヤギのチーズでガブ飲みしはじめた。

ご主人:「オイくん、今度さ、早朝から市場に行かない? 市場内に美味しい店があるんだよ。 火曜日の朝4時なんてどう?」

面白そうな話だったが、いやな予感がするので丁重にお断りした。

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