じっくりコトコトストーブ上で煮込んだおでん
「石油ストーブってよかねー、炎がよかよねー」
なんてオイ母と正月に会話をしていたところ、いかにストーブ上を有効に使うかという話に発展していた。
やはりやかんを置いて、部屋内の乾燥を防ぐべきであるという母に、イヤイヤ煮込み料理に活用しないテはないと応戦するオイ。 やかんを置いておくだけでは麦茶は作れるかもわからんが、食い物はできないでしょう。 煮込み料理は水が並々と入っているわけだから、その例の乾燥対策にも役立っているハズ。 よってストーブで暖をとると同時に煮込み料理をやるのがベストだ。 こう伝えた。
そこで年甲斐もなくムキになった母「ストーブ上で煮込み料理を作るのは言うまでも無く結構なことだが、煮こぼれした日にゃ悲惨だ。 煮込みの汁が焼けこびりついて掃除するにもどうにもならぬ。 それにストーブ上で煮込んでいると、つい自分が料理をしているということを忘れてしまう。 たとえばこうだ。 おでんをストーブ上で作っていたとしよう。 おでんならば張り切らねばならん。 朝から晩までストーブ上で煮込み続けるわけだ。 あとはほっといても夕食時になるとおいしいおでんが煮込めているというわけだがしかし、寝っころがって昼ドラを見ているときにフと、焦げたような臭いがするわけだ。 その焦げ臭をキッカケに、あ、ストーブでおでん煮込んでたんだっけということを思い出して、慌ててストーブに目を向けるが時すでに遅し。 おでんは汁気が蒸発してしまい焦げ付いて全滅なわけだ。」このような失態を幾度と無く繰り返した末に、ストーブ上では調理をしないと決めた母の言い分だ。
そんなの、あなたがボーっとしているからでしょうに。 ストーブに罪は無いわけで。 第一調理に対する熱意が足りんわけだよ母は。
このように話をして別れ、オデンが食いたくなってやはりストーブ上で煮込み始めた。 今回のおでんのポイントは、牛スジ肉を使わないで、豚バラブロックのダシをフルに活用するところである。 豚バラと、カツオダシでおでんを仕上げるわけである。 トロトロになった豚バラ肉は、箸で持ち上げようとしても崩れてしまう。 これにカラシを塗りたくって、口を器に可能な限り近づけておいて、一瞬でかぶりつく。 「ウマイッ!」となるハズだったけど、熱すぎて、口内上側を軽くヤケドしてしまった。
その他の具材もあまりキバらずに、ニンジンを入れてみたり、ブロッコリーの芯を入れてみたり、ジャガイモやエノキを入れてみたりといつもと若干変えてみた。 「10日間ブッ通し毎日ストーブ上でおでんを煮込み続けたら黒ずんでさぞ美味しかろう」なんて意気込んでいつも挑んでみるも、3日目には食い尽くしてしまうもしくは食い飽きた家族からクレームがきてしまう。
小腹がすいた。 コンニャクでビールでも飲むか。